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しおりを挟むセバスからの手紙の中身は、話があるので王都の宿の部屋に来てほしいということだった。
日にちも指定されて、宿もカイトの名前で予約済みだそうだ。
「割とすぐに出ないとギリギリだけど、行く必要あるか?」
「う~ん。ない気はするけれど、気にはなるわね。」
あの時の子供に何かあったのであれば、ジュゼットを呼びそうだけどカイト宛だ。
「嫌な予感しかしないよな。」
何を企んでいるのか気になる。ジュゼットの父親を嵌めたのはセバスだろうから。
やっぱりジュゼットを子供の母親として囲おうと呼び出そうとしたら結婚していて僕が邪魔だとか?
だから、その僕に女でも仕掛けて、ジュゼットと別れさせようと思っているとか?
王都にいる兄の使用人でも借りて、女が乱入しないように見張っててもらおうか。
「行きたくないけど何度も連絡が来ても落ち着かないから行ってくる。
ついでに兄にも顔見せてくるよ。ジュゼットはまた次回だな。」
「そうね。この子が産まれる前にスッキリしたいものね。
今思えば、セバスさんって物腰柔らかい頼りになる人だと思っていたけれど、胡散臭いわ。」
そうだよな。あの時は、助けてくれた人の指示で動いてくれている親切な人と刷り込みがあった。
威圧的じゃなかったから監禁にも耐えられたけど、セバスとシーラの態度次第で怯えるような生活に一変していたことは間違いない。
決して感謝するような生活ではなく、今となっては胡散臭く思って当然だ。
「王都に向かう準備をして、明日にでも出る。
義兄上には、実家の兄に会うということにするよ。」
「ええ。……本当に行って大丈夫かしら。」
「心配なら兄に護衛の一人を借りて、扉の前に立たせておくことにするよ。」
「それがいいわ!」
ジュゼットが安心するのなら、やっぱりそうしよう。
少しでも早く着いて、情報屋にでも貴族夫人の外見を聞いてみるかな。
これは別に依頼するわけでもなく、情報屋なら夫人の一覧があるはずだから。
酒の一杯ほどの値段で簡単に見れる情報。手間が省ける。
翌朝、伯爵家の馬車で王都へと向かった。
ついでの仕事を頼まれた侍従と共に。
時間の無駄がないため、王都へは来た時の半分くらいの日数になる。
侍従マールとの旅もなかなか面白かった。
王都に着き、マールとは別行動となった。
帰りの待ち合わせ日時だけを決めて別れた。
情報屋のところに行き、夫人の一覧を見せてもらう。
意外に、髪と目がどちらも同じという組み合わせは少ない。
しかも高位貴族あるいは裕福な貴族だけの家名、そして夫人の年齢を絞ると簡単だ。
ここの貴族だろうと当たりをつけ、兄の家へと向かった。
「カイト、久しぶりだな。結婚おめでとう。」
「ありがとう。あと三か月ほどで子供も産まれる。」
「そうなのか!よかったな。
お前、来るとは手紙があったけど、手紙が来たのも今朝だぞ?急だな。」
「ちょっと、急に明日人に会う予定があってね。護衛を一人貸してくれる?」
「護衛が必要な用事なのか?」
「いや、多分大丈夫だけど、内容がわからない。
女でも仕掛けられたら嫌だから、扉の前にいてほしいんだ。」
「なるほどな。妻に誤解されない対策は必要だな。」
兄に笑われたが、内容がわからないだけに身の安全は守りたい。
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