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変な体勢で体への衝撃を躱そうと思ったせいか、左手首と左足首を痛めてしまった。

心臓が物凄く早く打っているけれど、これは次第に落ち着くだろうしお腹やお尻をぶつけていないから子供に影響もないはず。
だけど……どうやって出たらいいかしら。

激しい水音を聞いてシーラが慌ててやってきたらしい。


「ジュリ様!大丈夫ですか?」

「滑ってしまったわ。お腹はぶつけていないから赤ちゃんは大丈夫だと思うの。
 だけど手首と足首を痛めてしまったの。どうしようかしら。」


ひとまずシーラの手を借りて浴槽から出て片足で立った。
シーラが手早く体を拭いてガウンを着せてくれた。
歩こうとしたけれど、倒れてしまわないか不安だった。


「………このまま動かずにお待ちください。絶対に動かないでくださいね。」

「はい。」


迷惑をかけてしまった。そう落ち込んでいると、シーラはすぐに戻ってきた。
………一人の男性を連れて。


「ジュリ様、この方に運んでいただきます。触れることになりますがよろしいですか?」

「はい。すいません。お願いします。」

「お任せください。」


男性は騎士のようだった。


ベッドまで運んでもらうしかなかった。
ソファに運んでもらっても、後ほどまたベッドに運んでもらうことになるからだ。


「ありがとうございます。」

「いえ。」

「ジュリ様、こちら、扉の前にいる護衛のカイ様です。」


扉の前に護衛ってまだいたんだ。逃げないよ?


「カイ様、申し訳ありませんが、お医者様を呼ぶ手配をお願いします。」

「わかりました。失礼します。」


やってきた医者は、妊娠を判断してくれた医師だった。
胎児に異常はないと言われてホッとし、手首と足首の処置を受けた。
軽く捻っただけなので、1週間ほどで治るとのことだったけれど、無理をすると長引くということで移動はカイ様たち護衛に手伝ってもらうことになった。
 


翌朝、シーラに着替えを手伝ってもらってから護衛を呼んでもらった。
やってきたのは、カイ様だった。


「おはようございます。お手伝い致します。」

「おはようございます。ご迷惑をお掛け致しますがよろしくお願いします。」


カイ様にソファまで運んでもらい、朝食もそこで食べて動けない一日をソファで過ごした。
移動に呼べばやってくるのはカイ様。
朝昼晩とカイ様だった。

どういう勤務なの?昨夜もいたのに。

そして翌朝もカイ様だったことに驚き、思わずいつ寝ているのか聞いてしまった。


「私はジュリ様がお休みになられてからが休みです。夜中は別の者がおります。」


勤務時間が非常に長い気がした。


シーラによると、ジュリに接する人物は少ない方が良いだろうということで、怪我が治るまではカイ様が呼び出されるメインとして勤務を組んでいるらしい。


怪我をしたことによって、いろんな人に迷惑をかけてしまったと反省した。
 


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