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しおりを挟むレンフォードとエドガーは無事に学園を卒業した。
エドガーはあれから大変だったらしい。
妊娠したと言って家に来ていたのは同学年の男爵令嬢。
確かについ最近まで関係を持っていた。
だけど、その令嬢は純潔ではなかった。
『本当にエドガーの子供なのか』
両親もエドガーも疑ったらしい。
しかし令嬢は、ここ半年の間に関係を持ったのはエドガーだけ。
誰の子供かわからなくなるようなことはしないと言い切った。
上級生と婚約するつもりで言われるままに純潔も捧げた。
だけど、その上級生は直前で別の令嬢に乗り換えた。
純潔ではない自分が普通の結婚を望めるはずはなく、愛人になるのが目的だったのは確か。
だけどエドガーが結婚する前に妊娠するのは想定外のことだし、そもそも妊娠する気はなかった。
愛人として生活を保障してほしかっただけ。その間に自立する術を身につけるつもりで。
正妻に子供ができない等、産んでほしいと言われない限り、庶子となる子供を産む気はなかった。
しかし、いつまで経ってもエドガーと公爵令嬢と婚約が発表されない。
エドガーの以前の愛人候補たちは、ルチェリアが愛人を認めないことを知ってエドガーの愛人候補になるのをやめたと聞き、自分もエドガーの愛人候補をやめた後に妊娠がわかったという。
愛人を認めないなら庶子も認めないだろうと思い、ルチェリアのところに行き、エドガーとの子供を妊娠していると告げた。
すると、ルチェリアは元々単なる噂で、婚約者になるつもりは全くないと言ったのだ。
それならば、不本意でもエドガーに自分と結婚してもらい、子供を嫡子としたいと思った。
いずれ、エドガーに本命ができた時は離婚に応じる。
だけど、子供はちゃんと育ててほしい。それが父親であるエドガーの責任だ、と。
エドガーは侯爵令息。
高位貴族は愛人がいることが多いし、愛人に子供ができることもある。
しかし、後に離婚するとしても正妻とした女性から生まれた子と愛人から生まれた子では全く違う。
男爵令嬢は、望んでいなかった子供でもエドガーが未婚なので正式な子供であると認められたいと言ったという。
エドガーの両親も庶子とするよりも嫡子とした方が面倒なことにならないと結婚を認めた。
ただし、離婚することになってエドガーが再婚した相手が子供を産んだ場合は、そちらの子を跡継ぎにする可能性が高いということを認めさせたらしい。
再婚するなら男爵令嬢より身分が上になることは間違いないから。
男爵令嬢は、跡継ぎ以外の他の子供と同じ扱いをしてくれるのであれば問題ないと言った。
意外としっかりした考えの令嬢だったようだ。
「じゃあ、すぐに入籍するのか?」
レンフォードが聞くと、エドガーは首を横に振った。
「そのつもりだったけど、今まで関係を持った女性を全員調査してからということになった。
庶子を生んでいる女性はいないか、いたら僕の子供かどうか。
現在妊娠中の女性はいないか、いたら時期が合うかどうか。
その確認を終えてからということになった。」
「……他にもいる可能性は?」
「わからない。ちゃんと避妊はしていたつもりなんだ。
あの子が妊娠したのは、関係を終えるつもりの日だったと思うんだ。
だけど先に終わりにするって言われて、ちょっと、焦って、時間も回数もあやふやで……」
「最後に夢中で抱いて避妊を怠ったかもしれないということか。
他にはいないといいな。
まぁ、今の時点で言ってきてないのなら大丈夫と思うけど。
うちの父の助言を無視した結果だな。」
「助言?」
「ルチェの結婚相手には誠実でいてほしいって言ってただろ?
未来の自分が過去の自分を悔いることのないように今を大切にしろって。
婚約してから誠実になっても過去に遊んでいたことは消せない。
愛人候補の令嬢たちはお前が遊んだ不誠実の結果だろう?愛人にできないんだから。」
「……そうか。彼女たちは愛人になれない男に遊ばれたってことになるのか。
僕はルチェリア嬢以外の愛人を認める令嬢を婚約者に選ぶべきだったんだな。
彼女たちの時間を無駄にした僕は確かに不誠実だ。」
「愛人がいる前提で婚約者を考えるお前がルチェとうまくいくはずがないと早く気付くべきだったな。
ま、男爵令嬢とちゃんと向き合ってみるのもいいんじゃないか?
期間は未定でもお前の妻になるんだからな。」
「妻、か。そうだな。」
自分の行いの結果だ。現実に向き合うしかない。
その後、他に子供や妊娠している女性がいないことを確認できたので結婚することになる。
妻となった女性は、真面目で思った以上に聡明だったらしくエドガーの両親は安心したらしい。
離婚することになっても、子供に恥ずかしくない産みの親になりたいと高位貴族の礼儀作法を学んでいるという。
生まれた子供はエドガーそっくりの男の子。
その後、また妻が妊娠した時に、『もうこのままでいい気がする』と幸せそうに言うことになる。
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