両親のような契約結婚がしたい!

しゃーりん

文字の大きさ
10 / 16

10.

しおりを挟む
 
 
ルチェリアは学園に入学し、兄のレンフォードは2年生になった。

学園に公爵令嬢はルチェリアしかおらず注目の的になっていたけれど、一緒にいたレンフォードが睨みをきかせたために下位貴族はルチェリアに声すらかけることができなくなるはずだ。

ルチェリアが無事に友人たちと合流するのを見届けて、レンフォードは自分のクラスへと向かった。
おそらく、これが毎日の流れになるだろう。

レンフォードにとってルチェリアは友人や勉強、人脈を作ることよりも大事なのだから。
過保護だと思われても気にしない。
邪魔な兄だと思われても、むしろ自分が認める相手でないとルチェリアを任せられないことをわかってくれる相手が現れるかどうか。

ルチェリアの考えた契約条件は当たり前のことばかりだけど罰が厳しいこともあり、自信を持って立候補するような男はなかなか現れないだろう。

エドガーが躊躇した反応。あれが普通の男の反応だと思う。
だけど、エドガーはいつかルチェリアに求婚するはずだ。
彼の狙いは僕の友人であることとルチェリアとの結婚だろうから。
契約結婚の条件の相談に乗ったのも、探るためとルチェリアと仲良くなることが目的だろう。

エドガー以外にもうちに連れてきた令息はいる。
他の令息ともルチェリアはお茶の時間を楽しんだこともある。
ルチェリアはその一人ひとりの性格や好みなどをさりげなく探っている。
簡易的なお見合いみたいなもの。
その中にはルチェリアがまた会いたいと思う者はいなかった。
例外はエドガーだ。
役に立ったわけではないが、条件の手伝いをすると言って会う機会が増えた。

だから、ルチェリアに一番近いのは自分だとエドガーは思っている。

自信と野心。悪いことではない。
悪い男でもないことはわかっている。
わかっているのに、父同様に何かが気にかかるのは嫉妬なのかもしれない。



ルチェリアとはお互いの友人を交えて週に2度ほど昼休憩の時間を過ごすことにした。
 
レンフォードが大切にしていると見せつけるためでもある。
兄妹仲が悪いとルチェリアの価値が下がる。ぞんざいに扱われては困るから。


「さっき、お兄様たちの前でわざとらしく転んだ令嬢を見たわ。」

「あぁ、よくあることだ。見なかったことにして通り過ぎることにしている。」

「あれは、君たちと同じ新入生だね。ああいうのは誰から教わるんだろう?」

「小説からじゃないですか?躓いたり転んだり貧血のフリをしたりいろいろありますよ。」

「恋愛小説を読んでみるのも面白そうだね。令嬢たちの心理がわかりそうだから。」

「いえいえ、ありえない令嬢も多く出てきますから参考にしないでくださいね。」

「ああいう小説って絶対に貴族が書いてますよね。」

「そうよね。あるいはメイドか侍女経験者か。
 貴族の屋敷内や学園のことが詳しく書いてあるものね。」

「実体験を脚色してるんだろうね。どの時代でも何かしらの揉め事はあるから。」

「婚約破棄ですか?さすがに人前での断罪は考えられないですよね。」

「パーティが台無しにされるから禁止になったしな。」

「え?小説に影響されて本当に断罪した人がいるんですか?」

「いるいる。大体が浮気を正当化しようとして返り討ちにされたらしいよ。
 政略結婚時代のあるあるらしい。」


いつの間にか、私の友人たちとお兄様の友人たちは楽しく会話する仲になっていた。


 
もちろん、兄の友人たちにも契約結婚の条件を見せたことがある。
するとやはり、『条件を守れると思うけど守れなかった時が怖い』『公爵家に家を潰される気がする』など言われた。
私の後ろにクールな父と兄が凍えるような冷たい目で睨みつけてくるような幻影が見える気がするらしい。

私よりも公爵家を恐れて契約結婚はできないかもしれないわ。



 


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

処理中です...