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6.
しおりを挟む国王陛下が告げた。
「お前たちがここに向かった後、侯爵家の使用人を聴取をしてアンネット嬢への虐待は確認している。
この3人とシューベルはもう平民だ。
衛兵、4人を一般牢に入れてから後日詳しく取り調べをした後、刑を決めろ。」
「はっ!」
衛兵が4人に近づいてきた時、アンネットは継母に言った。
「そのネックレスとイヤリングは侯爵家の家宝の一つです。傷つけずに外して下さい。」
継母がネックレスをグッと掴んでワザと破損させるような動きを見せた時、衛兵が素早く動いた。
「故意に破損させると片手首切断と片目失明程度じゃ済まなくなりますよ。」
継母は慌ててネックレスから手を離して、おとなしくネックレスが外されるのを待った。
ひと昔前、平民が貴族の物に手を出すと、両手首切断の刑があった。
しかし、両手がなくなると周りの手助けが必要なことが多くなり面倒が増えた。
やがて放置されて食事にもありつけず、餓死する。
そこで、片手首と片目という刑に落ち着いたと言われている。
それはもちろん重罪だと判断された場合のみではあるが、今回は家宝とアンネットは告げた。
そのために故意に破損させていれば、間違いなく重罪だっただろう。
しかも、それに見合った労働刑に何年も服した後、釈放される時に実行されるのだ。
辛うじて片手首片目を失う重罪は逃れたものの、継母の罪はハナミアよりも重いだろう。
いや、ハナミアもよく考えたらもう18歳になっていたから変わらないかも。
学年通りの17歳であれば、まだ罪は軽く済んでいたけど………
一番悪あがきだったのはシューベルだった。
「アンネット、誤解して悪かった。お前と結婚するから。な?もとに戻ろう。」
「見苦しいぞ、シューベル。気付ける機会はいつでもあったというのに。
助言してくれる友もいたのに、鬱陶しいと突き放したのもお前が狭量なせいだ。
思い込みの激しいお前を、昨日までアンネット嬢は待ってくれていた。
昨日の彼女の誕生日に気づいていたなら、穏便に婚約解消するはずだったんだ。
今日も、お前が婚約破棄を言い出さなければ、侯爵を継いだことと家族への断罪だけだった。
お前は公費横領等で王族ではなくなるが、兄たちの補佐で金を返納していく手筈だった。
こんなに大勢の貴族が集まる場で最悪の手段を選んだのはお前自身だ。
一般の平民同様の刑罰を与えるしかなくなってしまった。
愚かな元息子よ。罪を償え。」
国王陛下にとどめをさされ、シューベルは衛兵に引きずられて行った。
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