裏切りの結末

しゃーりん

文字の大きさ
上 下
6 / 19

6.

しおりを挟む
 
 
結婚後の準備のために、ライザが僕の家に来ることになっていた。

前に会ってから3日経っていた。その間にも手紙は送っていた。

ライザは来てくれるだろうか。迎えに行くべきだっただろうか。

そう悩んでいた時、ライザがやってきた。少し痩せた気がする。


「ライザ、来てくれてありがとう。」

「……ええ。この間は感情的になってごめんなさい。」

「いや、どんなことでも思っていることを言ってほしい。全部、受け止める。」

「ありがとう。おば様たちは?」

「応接室で待ってる。」


ライザと両親の元へと向かい、両親も僕が仕出かしたことについてライザに謝った。
それにより、この件は終わったこととして結婚式及びその後の生活について話を進める。
ライザはここに住む。義両親となる2人に泣き言を言えるような立場じゃなかった。
貴族の男に浮気や愛人などよくあること。それで終わりだ。

ライザにその後、どういう心境の変化が起こっているかはわからない。
彼女はあれ以来、ほとんど感情を出さなかくなった。
だが、辛い表情をする時がある。
やはり、僕を見るのが嫌なのだろうか。
そうだとしても、今はまだ仕方がない。誠実に接することしかできない。
結婚からは逃げられない。何があろうと中止にはならない。

一緒に暮らすようになれば、言いたいのを我慢していることを聞き出したい。
今の彼女も、結婚式をなんとか乗り越えようと頑張っているように感じたから。
ライザが結婚式の準備に投げやりになっていないことが救いだった。



しかし、結婚式まであと1週間という時にライザの従兄である次期侯爵バリーがやってきた。
彼は僕の浮気を知っており、ライザからヒューイットに仕返ししたいから協力を頼まれたと言った。 
バリーは、僕の浮気をライザが知ってからすぐ、ライザの純潔をもらったと言った。
それから今までに何度もライザを抱いている、と。
息が止まりそうになった。
あのライザが?仕返しに?そこまで僕はライザを追い詰めてしまった?
バリーは既婚者だというのにライザが誘ったというのか。
信じられない。だが、そんな嘘をついてもライザを抱くことになればわかる。
つまり、ライザが純潔でないというのは事実ということだ。
これは僕の罪だ。僕は受け入れなければならない。

バリーは、結婚式を中止しろと言った。
ライザは自分の愛人にする、と。

どうして今頃?もう式の1週間前だ。
ライザに頼まれた時は一度で関係が終わると思ってたからか?
関係を続けるうちに、ライザを手放せなくなったのか?
バリーがどういう考えで愛人という結論に至ったかはわからないが、あり得ない。

僕は断った。バリーが独身ならば考えた。だが、既婚者で子供もいる。
愛人にさせるくらいなら、僕と結婚した方がいい。
バリーの愛人になりたいとライザが思っているのなら彼女は言ったはずだが、結婚式の準備を進めていたということは僕と結婚するいうことだ。

バリーは怒っていたが、言う通りにする気は全くなかった。

ライザがバリーの愛人になって、誰が喜ぶのか。バリーだけだろう?
ライザの体が気に入ったということか?あるいはライザに好意があるのか?
どちらにしろ、あと1週間でライザは僕と結婚する。
結婚後、バリーがライザと密会できることはないだろう。
いや、ライザがバリーとの関係を続けることを望むとは思えない。
純潔を捨てたのは、僕への当てつけのつもりだろうから。
頼める相手がたまたまバリーだけだった。
ライザがバリーに気持ちがあるなんて思いたくもない。





そして、僕はライザにバリーとのことを聞くことをしなかった。

これが、更なる過ちだったと気づくのは結婚式の夜、つまり初夜だった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義姉の不倫をバラしたら

ほったげな
恋愛
兄と結婚したのにも関わらず、兄の側近と不倫している義姉。彼らの不倫は王宮でも噂になっていた。だから、私は兄に義姉の不倫を告げた……。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

どうやら旦那には愛人がいたようです

松茸
恋愛
離婚してくれ。 十年連れ添った旦那は冷たい声で言った。 どうやら旦那には愛人がいたようです。

記憶のない貴方

詩織
恋愛
結婚して5年。まだ子供はいないけど幸せで充実してる。 そんな毎日にあるきっかけで全てがかわる

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

夫は平然と、不倫を公言致しました。

松茸
恋愛
最愛の人はもういない。 厳しい父の命令で、公爵令嬢の私に次の夫があてがわれた。 しかし彼は不倫を公言して……

処理中です...