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しおりを挟む領地を訪れた私たち。
ラルフは仕事をテキパキと指示し、領地にやってきた目的を果たしていく。
彼は今日と明日、領地の屋敷に泊まったあと、王都に戻る。
私たち姉妹は、ここで2か月ほど過ごす予定にしている。
妊娠すれば、その期間に判明する。
そうすれば、はじめは悪阻を理由に。
その後も理由をつけて帰らず領地で出産を決めたということにする。
領地に着いた夜は、しばらく会えなくなるのが寂しいとお互いに離れがたく何度も抱かれた。
……明日の夜は、この体が妹を抱くのだ。そう思うと計画をやめたくなる。
次の日、姉妹で庭園を散歩しながら最終確認をした。
ラルフは明日の朝、早めに出るので今日の夜の就寝も早いだろう。
夕食後の酒を濃度の高いものにしておく。
ラルフより先に準備を終えて寝室に入っておく必要がある。
薄暗い部屋でベッドに横たわって待つ。
早く寝ようとしている時に、一度だけ抱いてもらうように頼むのだ。
「うまくいくかしら。」
「大丈夫よ。お姉様のフリをして見せるわ。なるべく顔を見せないようにするし。」
「……ええ。お願いね。」
その後、計画は概ね予定通りに進み、翌朝早くに王都に戻るラルフをランジェは見送った。
ランジェは一睡もしていなかった。
姉妹は領地で実家にいた頃のように仲良く過ごし、やがてエンジュは妊娠が発覚した。
妊娠したことと悪阻で王都に戻れないことを手紙に書き、ラルフに送った。
ラルフは喜び、体を大事にするようにと手紙を送ってきた。
妊娠3か月と5か月目にラルフは領地に来た。
まだ誤魔化せる状態なので、ランジェが妻としてラルフに接した。
一緒のベッドで寝たけれど、キスをして抱きしめて眠っただけ。
……部屋はエンジュが抱かれた後、変えてもらったのでラルフもそこで寝た。
妊娠8か月目に領地に来た時は、体調が悪いとベッドに横たわったままラルフに会った。
お腹が膨れていないことは上掛けがあるために気づかれなかった。
この時は、体調不良ということにしていたので一緒に寝なかった。
領地で出産するということは既に伝えていたので、エンジュに陣痛が来た時も子供が産まれた時もラルフは不在だった。
息子の誕生から数日後、ラルフが領地に来た時は、もうランジェが妻として接することができた。
子供の名前をリカルドと名付け、出生届もちゃんとランジェが母として出された。
リカルドの首が座ったら王都に戻ることを伝え、まだ数か月は領地で過ごす。
なぜなら、母乳が出ていないことがラルフにバレないように。
授乳は乳母にも任せるが、止まるまでは少し時間がかかる。その時間稼ぎ。
……ここまでは本当に順調過ぎるくらいに順調だった。
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