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しおりを挟むロゼリアには自分の今後の道をどう選ぶのか、よく考えるように伝えた。
お父様ともよく話し合うように、と伝えた結果だろう。
ゲオルド様がサラーナの部屋に駆け込んできた。
「サラーナ、どういうことだ?ロゼリアに嫁いでもいいと言ったのか?」
「それも選択肢の一つだと教えました。あの子に跡継ぎは重荷でしょうから。」
「勝手なことを……この伯爵家の跡継ぎはどうすればいいんだ!」
「ですから、再婚なさって新たに子供をもうければいいのでは?」
「だがこの前は30代の女性がいいと言ってたではないか。」
そう思っていたけれど、ロゼリアは何もできていないわ。マナーは落第点。5歳児よりひどい。
まだ9歳、もう9歳。学ぶ意欲のない子にアレコレさせることは難しいわ。
「ロゼリアを見て、あの子に伯爵家を任せることを不安に思いました。ですが、そうですね。よく考えると新たな子供というのはよくないかもしれません。だって、その子が成長するまであなたが元気でいるとも限りませんから。」
37歳の今から再婚相手を探して結婚して子供をつくるとなると、早くてゲオルド様が39歳の時に産まれることになる。
子供が学園を卒業する頃はもう60歳手前。その頃まで現役で伯爵業をすることになるのはきつい。
「どうすればいいと思う?……あと、ごめん。手紙のこと。イリンが間違ったことをロゼリアに教えていると気づかなかった。実母との交流を断たせる必要はないと思って手紙くらいならいいかと思ったが、何枚か読ませてもらって後悔したよ。『女の子なんだから勉強しなくても笑っていればいい』『もう少し大きくなったら男を自分に夢中にさせる方法を教えてあげる』なんて書いてあった。会わせていたら悪影響だっただろう。」
イリンさんとはもう別れたが、ゲオルド様は長年夢中にされてきた側だから複雑な心境だろう。
「以前、お義父様とお義母様が考えておられた養子はどうでしょうか。その子供を婿養子とすれば跡継ぎとロゼリアの夫の立場、どちらも与えられるかと。」
「そうか。それはいい。ロゼリアよりも少し年上で探してみよう。遠縁の中にいるかもしれない。」
「そうですね。結局ロゼリアは将来の伯爵夫人ということになりますから、やはり礼儀作法だけは頑張ってもらわないといけないですね。」
子爵家に嫁ぐという案も消えてしまったけれど、ロゼリアに言った2つ目の道に近いわね。
だけど、跡継ぎではないから気が楽なんじゃないかしら?
「となると、やはりある程度礼儀作法を学んだ女性と再婚した方がいいか。家庭教師か未婚の伯爵令嬢辺りってことになるな。……サラーナがこのまま残ってロゼリアに教える気はないのか?」
まだ諦めてないの?私は離婚するって言ってるのに。もう遅すぎるのよ。
「私はロゼリアにきちんと教えられるほど学んでおりませんので。実家にいたときは社交を禁じられていましたし、ここに来てからはお茶会などで他のご夫人の所作を伺いながら学んだだけです。
できれば再婚相手は、あなたの好みの女性というのはもちろんですが、ロゼリアと気が合うかも気にしてあげてくださいね。」
そう言えば、どうして10年契約だったのかをちゃんと聞いたことがなかった。
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