突然の契約結婚は……楽、でした。

しゃーりん

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ゲオルドと契約結婚することになったサラーナは清楚な女性だった。

だが話をしていると、契約内容を知らなかったので驚いた。

今更なかったことにはできないぞ?と内心焦りながらも説明すると、受け入れてくれた。

なんと理想的な妻が見つかったのかと部屋に戻ってから大喜びしたほどだ。



だが、しばらく経ったある日、夜会に行く馬車の中でイリンに会ってほしいと頼めば契約を盾に断られた。

確かに契約に書いてあるけど、あれはご両親が考えたものでサラーナが望んだことじゃないだろ?


イリンに会うのが無意味?
そんなことないだろう?妻と愛人なのだから。

あ、だからか?ひょっとして嫉妬してるのか?ゲオルドの子供を産むイリンに。 

そう言ったら、ならば、白い結婚の条件を反故にしてもいいのかと言われれば確かに契約は守らなければならないと反省した。


 
サラーナの評判をイリンが落とそうとする?

イリンはそんなことしない!

怯えて泣く?サラーナを悪者に仕立てる? 


平民の愛人が貴族の妻に会いたいと言うのは、夫が妻を嫌うように仕向けるとしか思えないという。 


サラーナとの話は平行線だった。

ゲオルドはイリンの望みを叶えてやりたいが、契約によって実現しない。
サラーナはわざわざ陥れられる可能性が高いのに会う意味がわからないと拒否する。


そこで、サラーナは自分の代役を立てると言い出した。

侍女のエマをサラーナとして向かわせて、イリンがどういう態度をとるかを見ると言うのだ。


丁寧に挨拶をするだけであれば、エマが侍女だと明かしても問題ない。
ただ、害はないとわかってもサラーナは会う気はない。

怯える、泣く、睨まれた、怖い、など非礼な言動をすれば泳がせる。
イリンが接するのは別宅の使用人くらいなので、彼らにイリンの言葉を報告させる。


イリンがそんなことをしないと信じているゲオルドは、サラーナのその案を受け入れた。
 


だが、結果はサラーナの言う通りだった。

イリンが何かを言うたびに、『彼女は妻ではなく侍女だ』と言いたくなった。
いや、妻ではなく侍女だったとしてもイリンの態度は失礼だった。
相手は貴族だぞ?平民のイリンがそんな態度を取るなんて、私が一緒だからか?
貴族だからと距離を取られるのが嫌で気安く話してほしいとは言ったが、それは私限定だぞ?

エマは全く睨んでなどいなかったのに。

乳母になる?子供の隣の部屋?平民の愛人を妻がいる家に入れられるわけがないだろう?

何度も話し合ったじゃないか。
イリンは、子供は伯爵家で育てることに同意しただろう?
その他のことは、今までと何も変わらない。

ゲオルドがイリンの住まいに通うだけ。使用人も妊娠中だけだぞ?

イリンは平民じゃないか。
妊娠前まではちゃんと自活していただろう?その生活に戻るだけだ。
家賃と生活費はこっちが払っているのだから、金に困ることもなかったはずだ。


それなのに、伯爵家で暮らしたいと言い出すなんて全く予想もしていなかった。

 



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