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9.
しおりを挟む夕方、ファルクが自身の母と共にやってきた。
レーシアとの出来事を聞いたのだろう。
二人をソファに座らせて話をすることにした。
「父上、レーシアと関係を持ったというのは本当ですか?」
「ああ。治療だと乗っかってきたよ。」
「どうして拒まなかったのですか。息子の嫁ですよ?」
「あのなぁ、熱でぼんやりしている間に急所を握られて、そのまま跨ってきたんだ。
押しのける力もないうちに出さざるを得ないところまで高められたんだ。
お前もわかるだろう?理性だけでは抑えられない。」
「父上の子供ができたらどうするのです!もうあんな女とは離婚したい。」
「そのことなんだけどな、私はお前には子種がないと思う。」
「……え?ティナとの子供ができなかったからですか?でも、ティナのせいかも…」
「もちろん、その可能性もあるがお前は昔、高熱が続いて寝込んだ時期がある。
成長期の高熱は続くと不妊の可能性が高まるというからな。どう思う?」
侯爵は妻に聞いた。妻もその可能性を口にしたことがあったからだ。
「……それは調べてみないとわからないわ。
まさか、レーシアさんにあなたの子供を産ませる気なの?」
「え……」
ファルクは考えもしなかったか。妻はこの数時間でいろいろ考えたのだろう。
「ファルク。お前、孕ませる子種があるか調べる気はあるのか?
ないだろう?
レーシアと離婚して、新たな妻も孕まなければ?
侯爵家の跡継ぎを遠縁から養子にするか?
そうすると、お前が孕ませられない種無しだと気づかれるぞ。いいのか?」
「養子?え……」
息子は私と違って、性に貪欲だ。
遊ぶのには種無しはいいことではあるが、自分だけ知っているのと周りに知られているとでは違う。
ファルクは種無しだからと開き直れないタイプだ。
「あるいは、私が離婚して新たな妻と子供を設けるか、愛人をつくって産ませるかだ。
そうなるとお前の母の立場は?今更、実家にも帰れまい。
お前の新たな妻がレーシアのように私に跨ることはありえない。
レーシアが私の子を孕むことがみんなにとって良いことだと思わんか?」
「レーシアの子供が父上の子供であっても、私の子供だとするのですね?」
「そうだ。社交させず、一人か二人産んでもらった後にレーシアをどうするかは考えればいい。」
俯いて言葉を発しない母親を見た後、ファルクは言った。
「わかりました。父上とレーシアを共有します。
レーシアにも私が種無しかもしれないことは言わないでください。」
「ああ、わかっている。
レーシアは昼に私のところに来る。夜はお前がちゃんと相手をしろ。
私たち以外の者に腰を振らせないように、屋敷からも出すな。」
ファルクは部屋を出て行き、妻だけが残った。
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