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しおりを挟む王太子ルカリオと公爵令嬢ユリアナの結婚式は無事に終えた。…初夜はないが。
ユリアナは王太子妃として、仕事に取り組んでいく。
仕事は順調で、やりがいもある。問題があるとすれば…
ルカリオからの歩み寄りが全くないこと。
夕食は国王夫妻と一緒に食べることが多い。
その時に仕事の話題になることも、雑談をすることもある。
国王夫妻は、ルカリオとユリアナをあからさまに会話をさせようとすることはないが、気にしているなぁとは感じる。口を出すと、ルカリオが意固地になるからだろうけど、どっちにしろ無理だろう。
朝食、昼食、お茶の時間など、ルカリオが望めばユリアナの時間は取れる。
おそらく、ユリアナが折れるのを待っているのではないか?
しかし、歩み寄るべきなのはルカリオなのだ。ユリアナからは寄らない。
2年が長いのか短いのか。
ユリアナはもう待つ意味がないと感じた。
そして、仕掛けた。
ルカリオは引っ掛かる。
予定通りだ。愚かな男。
ある朝、ルカリオの侍従がベッドでルカリオと一緒に寝ている女性を見つけた。
侍従は慌ててルカリオを起こし、女性を部屋から追い出そうとしたがユリアナに目撃されてしまった。
国王夫妻にも伝わり、ルカリオから事情を聞いた。
酒に酔って、リンダと似た侍女かメイドかを連れ込んだ。
途中までしか記憶にはないが、女性と閨を共にしたと思う。
妊娠している可能性があるかもしれないので、側妃にしたい。
愚かなことを言うルカリオに、国王は激怒した。
ユリアナに歩み寄りもせずに不貞を犯すなど、弁明の余地もない。
然るべき離婚の理由を考えて、離婚後、ルカリオを国から出すしかない。
子種を絶ち、名前を変え、国外追放としなければ。
ルカリオを部屋に閉じ込めるように指示し、ユリアナと公爵と話し合いをした。
結婚わずか3か月での不貞に公爵も呆れた。
しかも、ルカリオが側妃を持つなどありえない。
歩み寄りの2年の期限も全くの無意味なことであったと国王と公爵の兄弟はため息を吐く。
離婚は確定とした上でルカリオの処遇はひとまず後回しで、王家の今後を決めることにした。
国王は、やはりルーセルが王太子になるべきであると言う。ユリアナの前で…
ならどうして6年前にルーセルを王太子にしなかったのだろう。
大好きなリロードと別れさせてまでユリアナにルカリオを押し付けておいて。
しかし、公爵が言うにはルーセルは王位に興味が全くない。ルーセルの妻も王妃はご免だと言う。
結局はユリアナが将来の女王になり、ユリアナの子がその跡を継ぐ。
王家の血筋はそれで戻る。
ルカリオとの離婚後、ユリアナが王太女となり配偶者を迎える必要がある。
相手については、ユリアナの意見も確認すると決まった。
当然である。ユリアナの中では相手は一人しかいないのだから。
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