上 下
6 / 10

6.

しおりを挟む
 
 
王太子ルカリオと公爵令嬢ユリアナの結婚式は無事に終えた。…初夜はないが。

ユリアナは王太子妃として、仕事に取り組んでいく。
仕事は順調で、やりがいもある。問題があるとすれば…


ルカリオからの歩み寄りが全くないこと。


夕食は国王夫妻と一緒に食べることが多い。
その時に仕事の話題になることも、雑談をすることもある。

国王夫妻は、ルカリオとユリアナをあからさまに会話をさせようとすることはないが、気にしているなぁとは感じる。口を出すと、ルカリオが意固地になるからだろうけど、どっちにしろ無理だろう。

朝食、昼食、お茶の時間など、ルカリオが望めばユリアナの時間は取れる。  
おそらく、ユリアナが折れるのを待っているのではないか?

しかし、歩み寄るべきなのはルカリオなのだ。ユリアナからは寄らない。
2年が長いのか短いのか。
ユリアナはもう待つ意味がないと感じた。


そして、仕掛けた。
 

ルカリオは引っ掛かる。


予定通りだ。愚かな男。


ある朝、ルカリオの侍従がベッドでルカリオと一緒に寝ている女性を見つけた。
侍従は慌ててルカリオを起こし、女性を部屋から追い出そうとしたがユリアナに目撃されてしまった。 

国王夫妻にも伝わり、ルカリオから事情を聞いた。

酒に酔って、リンダと似た侍女かメイドかを連れ込んだ。
途中までしか記憶にはないが、女性と閨を共にしたと思う。
妊娠している可能性があるかもしれないので、側妃にしたい。

愚かなことを言うルカリオに、国王は激怒した。
ユリアナに歩み寄りもせずに不貞を犯すなど、弁明の余地もない。

然るべき離婚の理由を考えて、離婚後、ルカリオを国から出すしかない。
子種を絶ち、名前を変え、国外追放としなければ。




ルカリオを部屋に閉じ込めるように指示し、ユリアナと公爵と話し合いをした。


結婚わずか3か月での不貞に公爵も呆れた。
しかも、ルカリオが側妃を持つなどありえない。
歩み寄りの2年の期限も全くの無意味なことであったと国王と公爵の兄弟はため息を吐く。

離婚は確定とした上でルカリオの処遇はひとまず後回しで、王家の今後を決めることにした。

国王は、やはりルーセルが王太子になるべきであると言う。ユリアナの前で…
ならどうして6年前にルーセルを王太子にしなかったのだろう。
大好きなリロードと別れさせてまでユリアナにルカリオを押し付けておいて。

しかし、公爵が言うにはルーセルは王位に興味が全くない。ルーセルの妻も王妃はご免だと言う。

結局はユリアナが将来の女王になり、ユリアナの子がその跡を継ぐ。
王家の血筋はそれで戻る。

ルカリオとの離婚後、ユリアナが王太女となり配偶者を迎える必要がある。
相手については、ユリアナの意見も確認すると決まった。
当然である。ユリアナの中では相手は一人しかいないのだから。  
 

 

  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。

しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。 だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。

どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません

しげむろ ゆうき
恋愛
 ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。  しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。  だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。 ○○sideあり 全20話

あなたの仰ってる事は全くわかりません

しげむろ ゆうき
恋愛
 ある日、婚約者と友人が抱擁してキスをしていた。  しかも、私の父親の仕事場から見えるところでだ。  だから、あっという間に婚約解消になったが、婚約者はなぜか私がまだ婚約者を好きだと思い込んでいるらしく迫ってくる……。 全三話

婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。

しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。 全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。 しかも、王妃も父親も助けてはくれない。 だから、私は……。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜

よどら文鳥
恋愛
※当作品は全話執筆済み&予約投稿完了しています。  夫婦円満でもない生活が続いていた中、旦那のレントがいきなり離婚しろと告げてきた。  不倫行為が原因だと言ってくるが、私(シャーリー)には覚えもない。  どうやら騎士団長との会話で勘違いをしているようだ。  だが、不倫を理由に多額の金が目当てなようだし、私のことは全く愛してくれていないようなので、離婚はしてもいいと思っていた。  離婚だけして慰謝料はなしという方向に持って行こうかと思ったが、レントは金にうるさく慰謝料を請求しようとしてきている。  当然、慰謝料を払うつもりはない。  あまりにもうるさいので、むしろ、今までの暴言に関して慰謝料請求してしまいますよ?

「貴女、いい加減コンロコ様から離れてくださらないかしら」婚約者の幼馴染み女からそんなことを言われたのですが……?

四季
恋愛
「貴女、いい加減コンロコ様から離れてくださらないかしら」 婚約者の幼馴染み女からそんなことを言われたのですが……? ※一部修正しました。そのため、見づらい等ありましたらすみません。(>_<)

追放された令嬢は愛し子になりました。

豆狸
恋愛
「婚約破棄した上に冤罪で追放して悪かった! だが私は魅了から解放された。そなたを王妃に迎えよう。だから国へ戻ってきて助けてくれ!」 「……国王陛下が頭を下げてはいけませんわ。どうかお顔を上げてください」 「おお!」 顔を上げた元婚約者の頬に、私は全体重をかけた右の拳を叩き込んだ。 なろう様でも公開中です。

処理中です...