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しおりを挟む卒業パーティー後の王家と公爵家の話し合いの場。
自分が犠牲になることが納得できないとの発言をしたルカリオ。
どれだけ温情をかけられているのかが理解できていなかった。
「そもそも、リンダ嬢にはもう婚約者がいるが、お前と通じていたのか?」
「っいえ。まだリンダには言っていません。
ですが、彼女もきっと僕を思ってくれているはずです。」
話にならない。
「思ってくれている証拠は?いつ気持ちを確かめたんだ?」
「確かめなくても、リンダとは学園で何度も目が合いました。僕を見ているからです。」
それは視線を感じた先がルカリオだっただけでは?
「はぁ。リンダ嬢のことはひとまず置いておくとして…
王太子をおりるんだな?子種を絶って臣下にくだるんだな?」
「それは嫌です。リンダを僕の妃にします。」
駄々っ子だろうか?
「…結局、リンダ嬢に話が戻るのか。
いいか?彼女はもうすぐ違う男と結婚する。お前の妃にはなれない。」
「そんな!嘘だ。そうやって騙すつもりなのでしょう?」
ここで王妃が口を開いた。
「嘘ではないわ。
あなたとの仮婚約を解消することになって次に婚約したのは私の友人の息子です。
とても仲が良い二人のようで、友人はリンダが義娘になる日を楽しみにしてたわ。
リンダはもう先に進んでいるのよ?あなたはいつまで愚かなことを言っているの?」
「ユリアナと結婚するか、王太子をおりるか。どちらを選ぶんだ?」
「………………ユリアナと結婚します。」
「ではそのように。」
ここでユリアナが口を開いた。
「お待ちください。
まだルカリオに選ばせるのですか?
ルカリオがこのような考えでも私をルカリオの妃にするのですか?」
「……………すまないが、結婚式ももうすぐだ。中止する理由が…」
「また王家の面子ですか?やっぱり早くに正すべきだったんです。
それも今更ですけどね。
兄を王太子にしても結婚式の問題が残りますしね。わかりました。
結婚式は予定通り行いますが、ルカリオの私への誠意が感じられるまで初夜は延期です。」
「それでは子供が…」
「そうですね。ですが、いやいや触れられる私の身にもなってください。
嫌悪感で子供など流れてしまいそうです。
それに、ルカリオよりも私に正統性があるのです。
結婚する以上、ルカリオが私に誠意を見せるのは当然だと思います。」
国王はユリアナの静かな怒りを感じ取っていた。
ルカリオは血の繋がったかわいい息子ではあるが、自分は国王だ。
国王として正しい血筋に戻す面子に拘ってユリアナを引き込んだ以上、ユリアナの意見を飲む必要があった。
「わかった。もっともなことだ。
ルカリオ、夫としてユリアナに歩み寄れ。
2年だ。その間にユリアナがお前を夫と認めなければ理由をつけて離縁させる。
出ていくのはお前だ。わかったな?」
「そ、そんな…どうやって…」
自分で考えろ!とみんなが思った。
それにしても、ルカリオがこんなに愚かな男だったとは。
やはり温情をかけるべきではなかったのだと思った。
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