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しおりを挟む多くの『ワケアリ』になる貴族は、学生の間か、卒業して婚約者と結婚するまでの1~3年の間に問題を起こすことが多い。
1代目のレイチェルにあてがわれた夫は、下位貴族令嬢や平民女性と浮気を繰り返し婚約者を蔑ろにした侯爵家の跡継ぎだった。
しかも暴力的なところがあり、婚約者を殴って大怪我をさせたことが婚約解消の原因となった男だ。
本来であれば、彼は自分の家から籍を抜かれて平民として罰を受けるはずだった。
だが、王女がレイチェルの夫になるように手を回したのだ。
レイチェルは結婚生活の間、暴力を受け続ける暮らしをした。
結婚相手のレイチェルが他の男の子供を妊娠していたことも暴力の一因であった。
2代目のレイチェルの子供にあてがわれた妻は、酔って見知らぬ男を相手に純潔を失った伯爵令嬢だった。愛する婚約者に嫁げず、男爵家に嫁がされて子供を産んだ後は無気力になった。
なぜなら、自分の元婚約者が別の令嬢と結婚したいがために自分を襲わせたことを知ったからだ。
それを知らせた手紙は王女がワザと送ったようだった。子供を産んで幸せになろうという時に、敢えて。
子供ができて落ち着いていた感情を乱され、もともと精神的に脆いところがあったため心を閉ざした。
3代目のローリエの父の妻、ローリエの母は、婚約者に捨てられて自殺未遂をした侯爵令嬢だった。
婚約者に近づく令嬢が許せず意地悪なことを繰り返したことで婚約者に見放されたのだ。
結婚後は落ち着いていたが、ローリエを出産後に何度も自殺未遂を繰り返し、心が壊れたまま心療所に入った。
自分の元婚約者が新しい婚約者をどんなに愛しているか、前の婚約者である自分を嫌っていたかが綴られた手紙が届いたからだ。これも王女の仕業だろう。
ローリエが産まれた数か月後に王女は亡くなった。
1代目から3代目それぞれ、条件に従い子供を1人もうけた後は10年後に離婚している。
離婚後、1代目の夫は実家に戻されたが籍を抜かれ、平民となったあとは行方知れずとなった。
おそらく、実家の侯爵家が処分したのだろうと思われた。
2代目の妻は実家に戻された後、領地で静養していた。
元婚約者とその妻が暴漢に襲われて亡くなったのは誰の指示なのか、それはわからないままだ。
3代目の妻はハーブス家の近くの心療所から実家の近くの心療所に移ったが、ローリエが12歳の時に亡くなった。
元婚約者のことが書かれた手紙は彼の浮気が原因で不仲なため捏造だとわかったが、心が戻ることはなかった。
4代目になるローリエも、王家に指定された『ワケアリ』男性と結婚しなければならないのだ。
王女はもう亡くなっている。
でも、ハーブス家は5代目まで罰を受け続ける。
『ワケアリ』になる貴族が誰もいないなんてことは、ない。
どんな人であっても、受けることになる。
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