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しおりを挟む幸い、急ぎの仕事や打ち合わせがしばらくなかったため、翌日に王都に向けて出発した。
ホイラン子爵領は隣の伯爵が築いた街道のお陰で王都まで2日で辿り着けるようになった。
……通行料は取られるが、遠回りして宿泊費と時間がかかることを思えば安い。
侯爵令嬢ロレーヌとの結婚話を持ってきたサイモンは、人伝でしか令嬢のことを聞いていない。
実際に会えば、本当に悪女なのかもしれない。
第三王子殿下に惚れていたのかもしれない。
あるいは、自身の元婚約者と殿下の恋人の仲を疑って嫌がらせをしていたのかもしれない。
殿下の恋人であるなら、元婚約者も気を遣っていたはずだから。
それにしても……第三王子殿下には婚約者がいなかったか?
その婚約者が恋人なのか?
「え?違うらしいよ。殿下は婚約者がいるのに恋人をそばに置いているんだ。」
「それを、王家と婚約者が許しているのか?」
「学生の間だけだろうからって見逃してるみたいだね。」
「……卒業後に揉める気しかしないんだが。」
「だよなぁ。ロレーヌ嬢を退学にまで追い込んで守る恋人だろ?
ロレーヌ嬢と何らかの接点はあったと思うんだ。
それが原因で、殿下の恋人の気に障ったってところが退学の理由ってとこだな。」
「そうなのか?」
「いや?俺の推測。俺とロレーヌ嬢の間に人がいすぎて、理由まで情報がない。」
「……実際に嫌がらせをしたかもしれない?」
「かもしれない。
だけど、母親や親戚が侯爵の意向に逆らってまで結婚相手を探してやりたい令嬢だ。
俺の妻が仕入れた情報では、大人しい令嬢らしい。
大人しいから嫌がらせをしないとは限らないし、周りも騙されているかもしれないが。」
「……あの田舎で我慢できる令嬢ならいいけどな。」
田舎といっても、街は賑わっているし平和な領地だ。
王都と違い、貴族向けの店が少なかったり、他の領地の特産などはない。
領地なんてどこもそんなもの。
だけど、高位貴族は王都で暮らしている者が多い。
ロレーヌ嬢もそうだろう。
たまに訪れる領地とは違い、ほとんどを領地で暮らすことになる。
……金遣いが荒い令嬢だと困るなぁ。貧乏ではないが、子爵としてなら。という条件付きだ。
婚約期間中に何度か領地まで来てもらって、うまくいかないようなら破談にするしかないな。
修道院を逃れるための婚約なんだ。
婚約すれば、実家にも戻れるようになるだろうし。
侯爵の怒りを鎮まったら、もっといい縁談がくるかもしれないしな。
そんな風に、まだ気楽に考えていた自分は甘かったようだ。
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