男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん

文字の大きさ
上 下
37 / 62

37.

しおりを挟む
 
 
落ち着いた日々を過ごしていたある日、ローゼマリーが学園に行くと、ユミリアが少し怪訝な顔をした。 


「おはよう、ローゼマリー。何か、少し唇が腫れていない?」

「おはよう、ユミリア。まだちょっとわかってしまうかしら。ロベルトにお仕置きをされたの。」

「お仕置き、で唇が腫れる理由がよくわからないけど、何をしたらお仕置きされることになるのかしら。」

「あー……ここではちょっと?またお昼にね。」
 

さすがに、ローゼマリーも誰が聞き耳を立てているかもわからない教室で話す気はなかった。

ロベルトのお仕置きだと口にした時点で、『またお仕置きが必要かな?』というようなロベルトの表情が目に入ったからという理由でもあったけれど。

ユミリアも空気を察し、また後でと苦笑していた。 




昼休憩時、ユミリアは中庭に移動することを提案し、みんなで移動した。 


「それで?お仕置きって、なに?」
 

ユミリアは、経緯を知らない友人たちにも朝の会話を話し、それを聞いて興味津々の三人がローゼマリーに詰め寄ってきた。


「えっと……ロベルトをちょっと怒らせちゃったのよ。大したことではないのよ?失言しただけで。」

「失言ね。何て言っての?」


どうしてそんなに知りたがるの?

別に話しても構わないけれど、なんだかいつも笑われている気がするわ。
そんな面白い話しているつもりはないのだけれど。


「あのね、『つい魔が差して浮気しちゃっても私には言わないでね』って……」


そう言うと、友人三人は『あー……』と声に出さずに同じような表情をしていた。

 
「ロベルト様に限って、魔が差すってことは絶対にないわね。」

「でも、わからないじゃない?酔っ払って誘われたらソノ気になったとか、私と間違ったとか。」

「「「ないでしょ。」」」

 
三人揃ってそう言われてしまうと、『……ないわね。』と思えてしまった。

 
「その失言でお仕置きされたの?お仕置きって言葉、久しぶりに耳にしたわ。」


子供のころに兄が、とか、弟が、とか三人が話しているのを聞くと、16歳の令嬢がお仕置きされることは普通はないのだとローゼマリーは理解した。

うん。ロベルトに苦情を言おう。
 

「それで、どんなお仕置きだったの?唇が腫れるって、何?」

「一時間以上、ずっと、ずっとキスされ続けたの。死ぬかと思ったわ。舌も疲れたし。」

「「「え…………?」」」


三人は絶句といった感じで固まったけど、私は息継ぎが下手なのよ。

 
「私ね、キスする時の息継ぎが下手で、息を止めてしまうのよ。鼻呼吸を忘れてしまうのね。普段は、私が苦しくなる前にロベルトが息継ぎするために離してくれるんだけど、お仕置きの時は倍の時間くらい続けるの。しかも、今回はそれが繰り返し一時間以上も続いたから、本当に窒息するかと思ったわ。お仕置きというか、拷問よね?」

 
ローゼマリーは三人に同意してもらおうと思って聞いたのに、目の前の友人たちは揃って顔を真っ赤にさせていた。 



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした

Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。 約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。 必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。 そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。 そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが… 「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」 そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは 「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」 そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが… 甘く切ない異世界ラブストーリーです。

初恋の結末

夕鈴
恋愛
幼い頃から婚約していたアリストアとエドウィン。アリストアは最愛の婚約者と深い絆で結ばれ同じ道を歩くと信じていた。アリストアの描く未来が崩れ……。それぞれの初恋の結末を描く物語。

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります

奏音 美都
恋愛
 ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。  そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。  それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

処理中です...