自国から去りたかったので、怪しい求婚だけど受けました。

しゃーりん

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結婚式の日取りが決まり、あとは結婚後に生活する部屋の内装とか教育だとかは追々通いながら決めていくことになり、金銭面については親に完全に任せて話をしてもらった。

そして、アミディアとオルビスは2人で話をした。


「何だか聞きたいことありそうな顔だな。」

「うーん。ちょっと不思議に思って。
 どうして王女様との顔合わせの時は気に入られたのかな?って。
 そんなに婚約前後で態度を変えたの?」

「まぁ、2歳下だけど一応王女に会うってことで緊張はしていたんだ。
 公爵令息らしく対応しなきゃなって。
 話をしているうちに、いきなり花冠を作れって言われた。
 だけど、作ったことがなかったから作れないと言ったんだ。
 なら、練習して今度は作れるようにしろって言われて了承した。
 それがなぜか気に入られて婚約することになった。
 だけど、結局は花冠を作ってやらなかったことがキッカケで嫌われた。」


……なんだそれは。


オルビスが言うには、そのあとすぐ侍女から花冠の作り方は教わった。
実践で初めて作ったのがアミディアの髪に乗せてくれた花冠。
その私の姿があまりにも可愛くて、王女様に作りたくなくなったそうだ。
 

「庭師の手入れした花じゃないと、花についた虫が髪に入り込むかもしれないと言ってやったんだ。」


そしてわざわざ手入れされた花を手折って花冠を作る気もないと断った。 
自分の言うことを聞かなかったことで王女はオルビスに怒った。
同じようなことを何度も繰り返し、オルビスは王女に優しくないので嫌われたという。


「優しくないと言われてもな、王女の要望にも問題が有り過ぎたんだ。
 王都の時計塔の上から王宮に向かって王女が可愛いと叫べとか、お姫様抱っこしろとか。
 11歳が9歳を横抱きにするのは難しい。騎士になるために鍛えてるとかじゃないし。
 あとは一緒に学園に通うために2年遅らせろとか、王女の良いところを100個書いてこいとか。
 最初の数回会っただけで王女への接し方は決めた。言いなりにはならない、と。
 絶対に婚約解消してやるってな。」


王女様、無茶ぶりがすごいわね。
ここまで話してくれるのであれば、ついでに聞いてみよう。


「王女様がご結婚された令息には何かされたのですか?」

「ん?つまり、王女を誘惑しろって言ったかどうかってことか?」


アミディアは頷いた。
婚約者のいる王女と恋仲になろうだなんて、常識のある令息なら思わないはずだから。


「それは言ってないな。
 ただ、王女は婚約しているが婚約者とは仲が悪く結婚することはない。
 冷たい婚約者ではなく優しく接してくれる王子様のような令息を待っている。
 そんな噂は学園で流れていた。」
 

流れていた、というよりも流してもらった、が正しいのでは?
この国の一部の令息は、王女様の性格を知っているから近づかない。
だけど、他国の令息は知らないので、うっかり声をかけて捕まってしまったのでは?

なんだか怖い。ひょっとするとその令息の留学自体が仕組まれていた気もしてきた。
可哀想な王女様を救う自分に酔いしれそうな高位貴族の令息を留学させてくれって。

だってオルビスには、王女様の夫が浮気した女性を妊娠させたって国王様に伝わるよりも早く連絡をしてくる友人がいるんでしょ?
しかも、オルビスとの復縁を仕組んでいたことまで。
それって、王女様の近くにオルビスの密偵みたいな人がいるってことよね?
 
王女様が他国に嫁いでも、その動向を監視してたって恐ろしい。
 


まさか、私のそばに私のことを監視してオルビスに報告している人もいる?……まさか、いないよね。
 

 


 
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