15 / 23
15.
しおりを挟むコンラッドの事件に何の進展もないまま半年間の喪が明けた。
その途端、プリズムへの縁談の申し込みや第二夫人・愛人へのお誘い、お茶会などの誘いが殺到したために、すぐにジュリアスとの婚約を発表した。
その翌月にジュリアスが卒業すると同時に入籍することも義父と義母が広めていった。
改めて結婚式などはしない。
そして入籍を終えてすぐ、プリズムは妊娠していることがわかった。
侯爵夫妻とジュリアスは大喜びだった。
入籍前に妊娠したことになるが、それはどうでもいいらしい。
出産で止まっていた月のものが始まり、ジュリアスに避妊しないと妊娠するかもしれないことは伝えていたが、彼は問題ないと言っていたので妊娠させる気だったのだと思ったが、やはりすぐできた。
これで軟禁生活が続行されるというわけだ。
そんな中、事件が急に進展を迎えたという。
きっかけはコンラッドと共に亡くなっていたサフィニア・コートアル子爵令嬢の婚約者であった伯爵令息のところに持ち込まれた新たな縁談。
婚約者が亡くなったということで、喪が明けるまではと社交も新たな縁談も受け付けていなかったという。
喪中に届けられたお見合いの打診は、そう伝えて断っていた。
そして、喪が明けて即日届いたその令嬢からのお見合いは、実は断ること5回だという。
亡くなったサフィニア嬢と婚約する前にも2度断り、婚約中も断り、喪中も断り、そしてまた今回断った。
そしてとうとう6回目は待ち伏せをされて断った際、その令嬢が言った。
『せっかくあの女がいなくなったのにどうして?あなたが受け入れてくれるまで私は諦めない……』
それを聞いて、この令嬢がサフィニア嬢の事件に関わっているかもしれないと思い、婚約者であった伯爵令息は捜査関係者に伝えた。
サフィニア側からもコンラッド側からも一向に進展するような情報がなかったために、伯爵令息からもたらされたこの情報に捜査関係者は食いついた。
そして令嬢の周りを調べた結果、家が雇っている使用人の一人が裏稼業の者と通じていたのだ。
その使用人を見張り、本人の物とは思えない宝石を質屋に売りに行ったところを尋問した。
宝石は勤めている夫人の物を盗んだとわかり、余罪を追及したところ、お嬢様に頼まれて裏稼業の者を紹介したことがあると認めた。
その知り合いの男は裏稼業といっても、殺人はお断りという人物らしい。
お嬢様と裏稼業の者を引き合わせた時、席を外すように言われたが盗み聞きをしたという。
『ある令嬢が結婚できなくなるようにしてほしい』
そう頼んでいたらしい。
『襲って純潔を散らせばいいか?』
そう聞かれると、お嬢様は少し考えてから、そこまでしなくていいと言った。しかし、
『男と一緒に連れ込み宿にいるところを見られればそれでいい』と。
お嬢様は相手となる男についても指定していたという。
お嬢様は裏稼業の男に金を一括で払っていた。
その一度しか会っていないはずだと使用人の男は言った。
そのことを令嬢に確認すると、依頼をしたことを認めたという。
だが、殺せとは言っていない、と。
そして、一緒に亡くなった相手の男も自分が指定した男とは違っていた、と。
応援ありがとうございます!
41
お気に入りに追加
732
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる