13 / 23
13.
しおりを挟むジュリアスが部屋を出て行った後、侍女ルルナが言った。
「ジュリアス様が何度も来られていたなんて、気づいていませんでした。
ですが、ホープ様のことを思うとお二人がご結婚されることはいいことだと思います。」
「そうよね。夫が亡くなったばかりだというのに不謹慎だと思うけど子持ちの未亡人だもの。
望まれれば拒絶しにくいわ。
でも、愛人じゃなくて正妻にしてくださるから光栄よね。」
「ええ。そうですよ。
他の貴族家では正妻でも後妻か、第二夫人や愛人にされてしまいます。
ジュリアス様ならホープ様の叔父様ですし、新たなお子様が産まれても問題ないと思います。」
みんな同じ考えね。
確かに、ホープのことを考えるとこれが一番いいと思う。
ジュリアス以外の男の第二夫人や愛人になると、ホープと一緒にいられるかは難しい。
王太子の愛妾になり王太子以外に他国の男相手の娼婦のように扱われた場合は、ホープにそんな姿を見られなくない。
それならば一緒に連れていくよりも侯爵家に置いていく方が幸せだろう。
ホープだけでなくプリズムの将来まで考えてジュリアスに子持ちの女との結婚を許してくれるなんて、侯爵夫妻とジュリアスには感謝しなければならない。
それにしても、ジュリアスはタフだった。体力がありすぎるし精力も………
コンラッドとはタイプが違う。
コンラッドは一度が長かった。
愛でる・焦らす・甚振る・追い詰める感じだった。
しかし、ジュリアスは一度では終わらない。
ジュリアスも私も何度達しただろう。
プリズムと同時に果て、またすぐに揺さぶってきた。
一晩にあんなに達したのも、あんなに繋がっていたのも、あんなに口づけしたのも初めてだった。
昨日はただ眠るだけだと思っていたから驚いたけれど、嫌だとは思わなかった。
ジュリアスの性格、中身を知る前に体の相性の良さを知ってしまった。
政略結婚の夫婦の仲がうまくいかない理由の一つは体の相性にあるという。
でもそれは少し違う。
貴族の夫人は純潔で嫁ぐ。
逆に男は娼婦や未亡人、下位貴族令嬢相手に経験済のことが多い。
妻となった女性に愛情がある、あるいは大事にしたいと思っている男は、初めての経験をする妻を優しく導いて快感を教えるように愛撫をする。
しかし、自分本位の男は、不慣れな妻の体が思った反応をしないことに不満を抱く。
最初から慣れた女と同じ反応をするわけがないことに気づかないのだ。
だから愛人をつくる。
自分が奉仕しなくても、してくれるような女を。
欲しい言葉をくれて、自信をつけさせてくれるような女を。
女の嘘の言葉や演技に気づかないから。
自分の愛撫が下手で、妻を満足させられない程度の男だと気づかないから。
そうして政略結婚の夫婦は仮面夫婦になると聞く。
プリズムは、最初の快感をコンラッドに教えてもらった。
だから、コンラッドの性格はどうあれ、閨事は気持ちよかった。
ジュリアスともそうだ。とても気持ちよかった。
娼婦のように沢山の男に抱かれたいとは思わないが、気持ちよい思いは大歓迎。
ジュリアスと毎日するのは体力が厳しいけれど、週に数度抱いて欲しいとすら思った。
愛がなくとも体は満足できる。
そう思えるのは、コンラッドもジュリアスもプリズムを気持ちよくさせたいと触れるから。
傷つける行為をしないからである。
貴族令嬢は自分の希望通りの相手と結婚できることなど少ない。
プリズムとしては、暴力を振るったり浮気を見せつけるようなことをしない限り、どんな夫でも受け入れる覚悟はしていた。
たとえ監禁夫でも。
だが、コンラッドともジュリアスとも体の相性が良かったというのは嬉しい誤算だった。
その後、ジュリアスは一日置きにプリズムを抱きにやって来て、別棟では暗黙の了解となっていた。
応援ありがとうございます!
42
お気に入りに追加
732
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる