上 下
5 / 12

5.

しおりを挟む
 

君は魅了されなかったの?

「僕は元々ケイトリンが好きでしたから、効いたかどうかがわからないじゃないですか。」
 
 
ケイトリンが好きなのに魅了の魔道具をあげたの? 

「何度も婚約を申し込んでいました。
 その度に、『魅力的な物をプレゼントして。それが気に入ったら婚約する』と言いました。
 いろんな物の中から、彼女が気に入ったのがそれでした。」


でも、婚約してないよね?

「ええ。少し遊んで満足したら婚約するとの約束でした。婚約者がいるとチヤホヤされないから。」


少し遊んで満足したら婚約。少し遊んだ騒ぎじゃないね?

「ええ。だから何度も止めました。」


ケイトリンは君の言うことを聞かなかった?

「もう少しだけって。
 でも、次に聞いた時には3人が手遅れになっていたので逃げられないと思いました。」


手遅れ。どういうこと?3年寿命を減らした3人?

「そうです。ケイトリンはすでに3人と体の関係をもっていました。
 そうすると、魅了が深まり相手はケイトリンに執着してしまいます。」


なるほど。ケイトリンが純潔を捧げた最初って3人の誰か知ってる?

「ケイトリンの初めての相手は僕です。」


あ、そうなの?

「はい。魔道具を選んだケイトリンが、僕と必ず婚約する証として純潔を差し出しました。
 学園で少しチヤホヤされたら僕と婚約するつもりで。
 でも、魅了しなくてもチヤホヤされて、拍子抜けしたそうです。
 そんな時、王太子とその友人たちを見て、チヤホヤされるならこの人たちがいいと言って。
 順に5人全員を魅了しました。
 5人が自分のそばにいるのを周りが羨ましそうに見てるって喜んでいました。
 しかし、ひと月経たずに1人が抜けて。
 そこで終わりにすればよかったのに、もう誰も逃がさないようにと4人とキスしたそうです。
 もちろん、4人はお互いの状況を知りません。
 自分が一番好かれていると思っていたでしょう。
 実際はそのうちの3人と体の関係までもったと聞いて、それは不貞だと言いました。
 彼女は、まだ僕と婚約していないから不貞ではないと。
 必ず僕のもとに戻ると。
 でも、もう無理だと思いました。相手が悪すぎました。
 どうせ処罰されるなら、最高に満足している瞬間に僕の手で終わらせてあげたかった。」


で、刺したということか。ケイトリンは微笑んでたね。

「ええ。昔の彼女に戻ったみたいな微笑みでした。」


アンクレットはひょっとすると、装着者の思考にも異常をきたすのかもしれないね。
多くの人を魅了して装着者の寿命を早めるように。
 
「そうかもしれません。アンクレットに出会ってしまったことを心から悔やんでいます。」

 
ちなみに、なんで3回刺したの? 

「僕を裏切って体を許した男の数です。」 


 
結局、裏切りが許せなかったってことだね。
 




 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄まで死んでいます。

豆狸
恋愛
婚約を解消したので生き返ってもいいのでしょうか?

王妃?そんなものは微塵も望んでおりません。

cyaru
恋愛
度重なる失態で王太子ディートリヒの婚約が破談になった。 次の婚約者として選ばれたのは、結婚を間近にしていたゼルガー公爵家の令嬢コンスタンツェ。 キデルレン侯爵家のジギスヴァルトと引き裂かれ、王命による婚約が成されてしまった。 大事な夜会を視察と言う名の浮気旅行に費やしたディートリヒは一変した王宮内の対応に戸惑った。 「王妃になれるんだから、少々の事で目くじらを立てるな」 コンスタンツェは薄く笑った。 ●全7話 2万字程度の短い話です ●ヒロイン全く甘くないので、ユルいヒロインを希望の方は閉じてください。 ●完結後になりましたが番外編3話追加しました<(_ _)> ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

どうせ嘘でしょう?

豆狸
恋愛
「うわー、可愛いなあ。妖精かな? 翼の生えた小さな兎がいるぞ!」 嘘つき皇子が叫んでいます。 どうせ嘘でしょう? なろう様でも公開中です。

王命での結婚がうまくいかなかったので公妾になりました。

しゃーりん
恋愛
婚約解消したばかりのルクレツィアに王命での結婚が舞い込んだ。 相手は10歳年上の公爵ユーグンド。 昔の恋人を探し求める公爵は有名で、国王陛下が公爵家の跡継ぎを危惧して王命を出したのだ。 しかし、公爵はルクレツィアと結婚しても興味の欠片も示さなかった。 それどころか、子供は養子をとる。邪魔をしなければ自由だと言う。 実家の跡継ぎも必要なルクレツィアは子供を産みたかった。 国王陛下に王命の取り消しをお願いすると三年後になると言われた。 無駄な三年を過ごしたくないルクレツィアは国王陛下に提案された公妾になって子供を産み、三年後に離婚するという計画に乗ったお話です。  

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

愛していたのは昨日まで

豆狸
恋愛
婚約破棄された侯爵令嬢は聖術師に頼んで魅了の可能性を確認したのだが── 「彼らは魅了されていませんでした」 「嘘でしょう?」 「本当です。魅了されていたのは……」 「嘘でしょう?」 なろう様でも公開中です。

処理中です...