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リオネルがそばを離れてから4か月、ケイトリンと4人の男は学園中から異様な目で見られていた。

 
この4か月間、王太子を除く3人の男の家も何もしなかったわけではない。

国王陛下と同じく、息子に何らかの魔法の痕跡がないかを調べてもらったが何もない。

しかし、明らかにおかしいのはわかっていた。



そして、その間にまず婚約破棄をされたのが侯爵令息ディック。2年生。
彼は、婿入り予定で婚約していた。
再三注意をした婚約者をディックは鬱陶しく思い、突き飛ばした。
それから、ケイトリンの可愛さと婚約者を比較して嘲笑ったそうだ。

そのため、ディック有責で婚約破棄となり侯爵家から慰謝料も支払われた。

侯爵家はこの時、ディックに何らかの処罰をするべきだった。
数日間の自宅謹慎で反省を促しただけで、監視もつけていなかった。
ディックが部屋を抜け出していることも気づかなかった。 

ディックが向かうのは、もちろんケイトリンのところ。
こうして彼は泥沼に沈むかのようにケイトリンにのめり込むことになった。




次に婚約解消になったのは、侯爵令息ハンク。1年生。
彼は入学前に婚約したばかりで、婚約者との交流があまりないままであった。

ハンクの父親は、王太子がケイトリンを手放さない限りハンクの恋が実る可能性が低いと諭した。
しかしハンクは、ケイトリンはまだ王太子を選んだわけではないし、王太子と結ばれても自分はそばにいたいと言った。
ここで侯爵は選択を誤った。
苦情を言ってくるハンクの婚約者の家との縁を切り、王太子のそばに息子を置く方を選んだから。
王太子がケイトリンを愛妾にした後、ハンクにはまた別の婚約者を探せばいいと思ったのだ。

こうして比較的円満に婚約解消したハンクもケイトリンにのめり込むことになった。
 

 
そして揉めたのが公爵令息ランドール。3年生。
彼の公爵家は多額の援助込みの親戚との婚約を結んでいた。
すでに、相当な援助額にもなっている。

ランドールが婚約者としての相応しい態度に戻れないのなら婚約破棄の上、援助金の返還。
それが無理なら公爵家の跡継ぎを娘に変更するように言いつけた。
それも公爵家の娘ではなく、ランドールと結婚するはずだった娘。
元々、ランドールとは従兄妹で公爵家の血筋であるから。

ランドールの父親は、何度も息子に言い聞かせた。
『婚約破棄をすると、跡継ぎでなくなるお前にケイトリンが振り向くはずがない』と。
正気に戻そうと部屋に閉じ込めると、頭のいいランドールは婚約者を大切にすると言った。



そして、この後ランドールが起こした行動により、事件が起きたのである。

 

 
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