3 / 12
3.
しおりを挟むリオネルがそばを離れてから4か月、ケイトリンと4人の男は学園中から異様な目で見られていた。
この4か月間、王太子を除く3人の男の家も何もしなかったわけではない。
国王陛下と同じく、息子に何らかの魔法の痕跡がないかを調べてもらったが何もない。
しかし、明らかにおかしいのはわかっていた。
そして、その間にまず婚約破棄をされたのが侯爵令息ディック。2年生。
彼は、婿入り予定で婚約していた。
再三注意をした婚約者をディックは鬱陶しく思い、突き飛ばした。
それから、ケイトリンの可愛さと婚約者を比較して嘲笑ったそうだ。
そのため、ディック有責で婚約破棄となり侯爵家から慰謝料も支払われた。
侯爵家はこの時、ディックに何らかの処罰をするべきだった。
数日間の自宅謹慎で反省を促しただけで、監視もつけていなかった。
ディックが部屋を抜け出していることも気づかなかった。
ディックが向かうのは、もちろんケイトリンのところ。
こうして彼は泥沼に沈むかのようにケイトリンにのめり込むことになった。
次に婚約解消になったのは、侯爵令息ハンク。1年生。
彼は入学前に婚約したばかりで、婚約者との交流があまりないままであった。
ハンクの父親は、王太子がケイトリンを手放さない限りハンクの恋が実る可能性が低いと諭した。
しかしハンクは、ケイトリンはまだ王太子を選んだわけではないし、王太子と結ばれても自分はそばにいたいと言った。
ここで侯爵は選択を誤った。
苦情を言ってくるハンクの婚約者の家との縁を切り、王太子のそばに息子を置く方を選んだから。
王太子がケイトリンを愛妾にした後、ハンクにはまた別の婚約者を探せばいいと思ったのだ。
こうして比較的円満に婚約解消したハンクもケイトリンにのめり込むことになった。
そして揉めたのが公爵令息ランドール。3年生。
彼の公爵家は多額の援助込みの親戚との婚約を結んでいた。
すでに、相当な援助額にもなっている。
ランドールが婚約者としての相応しい態度に戻れないのなら婚約破棄の上、援助金の返還。
それが無理なら公爵家の跡継ぎを娘に変更するように言いつけた。
それも公爵家の娘ではなく、ランドールと結婚するはずだった娘。
元々、ランドールとは従兄妹で公爵家の血筋であるから。
ランドールの父親は、何度も息子に言い聞かせた。
『婚約破棄をすると、跡継ぎでなくなるお前にケイトリンが振り向くはずがない』と。
正気に戻そうと部屋に閉じ込めると、頭のいいランドールは婚約者を大切にすると言った。
そして、この後ランドールが起こした行動により、事件が起きたのである。
181
お気に入りに追加
618
あなたにおすすめの小説
新しい街で 〜婚約破棄され実家も追い出されました〜
にーなにな
恋愛
【親愛なるソフィアへ 俺との婚約をなかったことにしてほしい。】
騎士であるジョセフと婚約していたソフィアは、いつか彼と結婚することを疑うこともなかった。しかし、ある日突然、手紙で一方的に婚約破棄を告げられた。理由もなく婚約を解消されたことにソフィアは深く傷つき、立ち直ることができなかった。さらに、親から「もうこの家には置いておけない」と言われ……
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
第一王女アンナは恋人に捨てられて
岡暁舟
恋愛
第一王女アンナは自分を救ってくれたロビンソンに恋をしたが、ロビンソンの幼馴染であるメリーにロビンソンを奪われてしまった。アンナのその後を描いてみます。「愛しているのは王女でなくて幼馴染」のサイドストーリーです。
誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。
しゃーりん
恋愛
3か月前、ようやく愛する人アイリーンと結婚できたジョルジュ。
幸せ真っただ中だったが、ある理由により友人に唆されて高級娼館に行くことになる。
その現場を妻アイリーンに見られていることを知らずに。
実家に帰ったまま戻ってこない妻を迎えに行くと、会わせてもらえない。
やがて、娼館に行ったことがアイリーンにバレていることを知った。
妻の家族には娼館に行った経緯と理由を纏めてこいと言われ、それを見てアイリーンがどう判断するかは1年後に決まると言われた。つまり1年間会えないということ。
絶望しながらも思い出しながら経緯を書き記すと疑問点が浮かぶ。
なんでこんなことになったのかと原因を調べていくうちに自分たち夫婦に対する嫌がらせと離婚させることが目的だったとわかるお話です。
貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる