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しおりを挟む臨月になり、産まれたのは女の子。
名前はアミーリア。また国王陛下が名づけてくれた。
「女の子を狙ったのですか?」
「うん。そうだよ。男3人、女3人の6人の子の父親だ。」
国王陛下はとても嬉しそうにそう言った。
陛下は忙しい中でも、自分の子供たちに接する時間をちゃんと取っているいい父親らしい。
12歳になった一番上の王太子はとても聡明でいい子に育っている。
……よく考えたら次期国王と私の子供たちは兄弟なのよね。
今更ながら畏れ多くなったけど、恥じないように育てていこうと改めて思った。
フォードの時と同じく、アミーリアも自分で世話をした。
夜中の授乳が必要なくなって朝まで寝てくれたら随分と楽になる。
そして気がつけば、3年が経つまで残り1か月となっていた。
毎週のように行われたお妃様たちとのお茶会も、王子様や王女様たちとの交流も、子育てのアレコレを教えてくれて手伝ってくれた侍女たちも、毎日がとても充実していた3年だった。
「ルクレツィア。残りの1か月、陛下があなたと閨を共にしたいって言うから予定に入れたわ。」
「へ?」
「子作りじゃなく抱きたいんですって。
今のままじゃ、あなたは実家に帰っても結婚しなさそうだし、恋人も作らなさそうだからって。」
「そうそう。まだ21歳なのにせっかくの美貌とその体を無駄にしそうだからって言ってたわ。」
「ルクレツィア。いい女でいるためには男に抱かれるのが一番よ。色気が出るわ。」
「仕事と子育てだけでなく、女を忘れないで。陛下はそう言いたいのよ。」
「陛下の公妾だった女が疲れ果てた女だって言われては困るのよ。」
「残りの1か月、陛下にたっぷりと抱かれて、男に抱きたいって思われる女になりなさい。」
「だけど、あなたが男を選ぶ側になるの。誰にでも簡単に抱かせてはダメよ?」
「……わかりました。頑張ります…?」
………そう言えば、陛下との初めての時にも色気たっぷりで家に帰れるとか言ってた気が。
面倒事になりたくないから、アミーリアを出産した後も陛下との閨の予定を入れてもらわなかったのになぁ。
結局、1か月のうち月のもの以外のほとんどの日を陛下に抱かれた。
何度も快感を教え込まれ、強請るように仕向けられ、自分で動く体位や男が喜ぶ行為などを仕込まれた。
ここまで必要なのかは疑問に思ったけれど、陛下とお妃様たちの善意?を有難く受け取った。
そして、3年が経ち、王命による結婚は離婚という形で手続きを終えた。
ルクレツィア・アグリードに戻った。
「白い結婚が認められた離婚って変な形になるけれど、そうじゃないと公爵のサインが要るからね。」
公爵は、まだ私が公妾になっていたことを知らないらしい。
「この離婚の手紙も、ルクレツィアのことを聞かれたら渡すように言うから。」
陛下はやっぱり面白がっている気がするわ。
公爵は、妻が公妾になっていたことや自分が離婚したことをいつ知るのかしら。
夜会にも出ず、社交もしないから誰も教えてくれないのね。
唯一、気に掛けてくれた国王陛下の王命にも従わなかったんだから、どうしようもないわ。
そして私は、みんなに別れを告げて、フォードとアミーリアを連れて3年過ごした王宮を去った。
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