上 下
7 / 19

7.

しおりを挟む
 
 
その後、話はルクレツィアの子供を授かる日がどの辺りかと月のものの周期のことになった。


「予定では、あと一週間ほどで始まって5日ほどで終わるのね。そして周期は28日。
 じゃあ、月のものが始まってから11日後から5日間くらいがいいかしら。
 でもその前に、明日にでも陛下に抱かれておいた方がいいわ。予定は空いてるから。」

「え?明日ですか?」

「ええ。純潔を失う時は人にもよるけれど出血があるわ。
 それなのに次の日も行為をするのは辛い場合があるの。」

「そうね。最初は痛いかもしれないわ。
 一度経験して、日にちを開けてると子種を続けて受けても楽しめるんじゃないかしら。」

「陛下に任せておけば大丈夫よ。優しくしてくれるわ。」  
 
「わかっていると思うけど、陛下を愛してはダメよ。あなたが辛くなるわ。
 どうしても離れたくなくなったら、側妃か愛妾になる手はある。
 だけど、あなた一人のものにはならないから愛すると後悔すると思うの。」

「あなたにオススメするのは、陛下で男を知って子供を授けてもらう。
 三年後に実家に戻った後は、体の相性のいい男と結婚するか愛人にするか、ね。」

「そうよ。再婚に純潔は関係ないんだから、体の相性が大切よ?
 閨事が下手な男と結婚すると、つまらないって話をお茶会でも聞くわ。
 だから、正式に籍を入れるのは体の相性を確かめてからでもいいと思うの。」

「騎士の体はすごいらしいわよ。未亡人の方が言っていたわ。
 体力といいアレの大きさといい、数人と関係を持ったけどみんな素晴らしかったって。
 だけど、性欲が強いから浮気も多いらしいわ。遊び相手にはいいと思う。」

「……お茶会でそんな話題もあるのですか?」

「あるわよ~。あなたは未婚だったから令嬢のお茶会ばかりだったのよね。
 夫人が集まるお茶会には、いろいろな集まりがあるのよ。
 わざと未亡人や愛人がいる夫人を招待して、刺激をもらうのよ。」

「ほとんどの夫人は夫しか知らないもの。物語みたいで聞いていて面白いわよ。
 夫婦の悩みごとを相談する場合もあるわよ。
 誘い方だとか受け身にならない方法とか、いろいろね。」

「マンネリ化が問題の夫婦が多いみたいよね。それか、出産後に抱いてくれなくなったとか。」

「意外と女の方が抱いて欲しがってる気がするわ。」

「そういう夫人の夫に限って、淡泊なのよねぇ。」

「夫婦円満の奥様って、みんなが閨事の不満を言っている時って絶対無口よね。」

「そりゃそうよ。閨事に不満があったとしても円満なだけでも羨ましいんだから。」

「……あの、閨事の相性ってそんなに難しいのですか?」

「私たちは陛下しか知らないから何とも言えないわね。」

「自分勝手に出して終わる男もいるみたいだし。」

「大事なのは気持ちもあるんじゃない?例えば、昨日公爵と閨を共にしてたらどう思う?」

「……嫌だったかも。」

「そういう気持ちも影響するのよ。触れられたくないと思えば体が拒否するから。」

「陛下になら大丈夫だと思ったんでしょ?ならあとは任せればいいわ。」


明日に抱いてもらうつもりで準備しておきなさいね。

そう言われて、ただ頷くだけだった。

閨事を経験した女性たちって様々で結構赤裸々に話すんだなぁと妙に感心してしまった。

 



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました

柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」  結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。 「……ああ、お前の好きにしろ」  婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。  ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。  いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。  そのはず、だったのだが……?  離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。 ※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。

公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます

柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。 社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。 ※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。 ※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意! ※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

[完結]思い出せませんので

シマ
恋愛
「早急にサインして返却する事」 父親から届いた手紙には婚約解消の書類と共に、その一言だけが書かれていた。 同じ学園で学び一年後には卒業早々、入籍し式を挙げるはずだったのに。急になぜ?訳が分からない。 直接会って訳を聞かねば 注)女性が怪我してます。苦手な方は回避でお願いします。 男性視点 四話完結済み。毎日、一話更新

「君を愛することはない」の言葉通り、王子は生涯妻だけを愛し抜く。

長岡更紗
恋愛
子どもができない王子と王子妃に、側室が迎えられた話。 *1話目王子妃視点、2話目王子視点、3話目側室視点、4話王視点です。 *不妊の表現があります。許容できない方はブラウザバックをお願いします。 *他サイトにも投稿していまし。

この死に戻りは貴方に「大嫌い」というためのもの

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
侯爵令嬢ロゼ・フローラは第一王子の婚約者候補の一人だった。 そして愛し合うようになり二年が過ぎたある日。 晴れて二人は婚約者となるはずだったのだが……? ※作者独自の世界観です。 ※妊娠に関するセンシティブな内容を含みます(ヒロイン、恋人の立場に不妊が関係します)。辛い方は避けてください。 ※5/25 お話をより分かり易くするために文を修正しました。話の内容に変更はありません。 ※6/11 21話のタイトル(前回1→前回)と文(西の国→西の大国)を訂正します。 ※6/27 完結しました。この後カタリナ視点の話を別作品として公開予定です。そちらはドロドロの話の予定ですが、よろしければあわせてお読みいただけると嬉しいです。 ※6/28 カタリナ視点でのお話「空っぽから生まれた王女」を公開しました。(あわせて読んでいただけると嬉しいですが、あっちはダークです。ご注意を)

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

【完結】離縁の理由は愛されたいと思ったからです

さこの
恋愛
①私のプライバシー、プライベートに侵害する事は許さない ②白い結婚とする ③アグネスを虐めてはならない ④侯爵家の夫人として務めよ ⑤私の金の使い道に異論は唱えない ⑥王家主催のパーティー以外出席はしない  私に愛されたいと思うなよ? 結婚前の契約でした。  私は十六歳。相手は二十四歳の年の差婚でした。  結婚式に憧れていたのに…… ホットランキング入りありがとうございます 2022/03/27

処理中です...