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しおりを挟む10数年後、私とキースはまだ王都にいるわ。
学園を卒業して結婚したけれど、キースが王宮で頼りにされる存在になってしまったの。
彼が少し口を挟むと、怒っていた人が落ち着いたりするので重宝されてるそうなの。
じゃあ、しばらくは王都で生活するかってなったんだけど、キースのお父様が爵位はくれたの。
『実務は今まで通りうちでするから休暇で子爵領に遊びに行けばいい』ですって。
代々、管理がしっかりしてるから、特に問題ないらしいわ。
なので、子供が結婚したら領地でのんびり暮らすことになったの。
生まれてから15歳まで実家の領地で過ごして、15歳で学園入学で王都に来て多分25年くらいいることになって、それから子爵領で余生?という歳でもないけど20年くらい過ごして人生を終える。いい感じね。
今日は新年の夜会なの。
久しぶりにエルネスト様を見かけてしまったわ。
おそらく、爵位を継いだから両親ではなく自分が出席しているのね。
声を掛けられることはないだろうから、遠くから微笑んで会釈しておいたわ。
爵位を継いだので、今年から新年の夜会に出席することになった。
隣にいるのは、2度目の婚約解消の後に紹介された妻だ。
妻は僕の3つ上で、母親の看病で婚期を逃してしまっていたらしい。
…つまり直近で2度の婚約解消をした僕には訳あり令嬢しか望めなくなったのだ。
妻は結婚するつもりはなかったと言った。婚期を逃しただけでなく容姿的に。
初めて会った時、確かに驚いた。彼女は貴族令嬢にしては長身だったのだ。
決して美人でもなかったが、結婚を諦めたように寂しく微笑む彼女のそばにいたいと思った。
彼女に過去の自分の過ちを全部述べた上で、結婚してほしいと言った。
泣きそうな顔で微笑んで、受けてくれた。
彼女の微笑みを幸せな微笑みにしていきたいと思った。
子供にも恵まれ、働き者の妻と一緒にいることが幸せだと思える日々を過ごしている。
それを感じ取ってくれたのか、妻の微笑みも幸せに見える。
オリビアが遠くから僕に気づいて、あの優しく穏やかな微笑みで会釈した。
ああ、キースと幸せそうで良かった。そう思った。
愚かな自分の身勝手でオリビアの未来も台無しにするところだった。申し訳なかった。
オリビアよりイザベルを選んだことを後悔したが、それは間違いだ。
僕はオリビアへの仕打ちを後悔しなければならなかったということにしばらくして気づいたのだ。
自分の罪は記憶から消えることはないが、あの微笑みが少し癒してくれた気がした。
<終わり>
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