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しおりを挟む私、オリビアは10歳の時に隣の領地のエルネスト様と婚約した。
のんびりとした田舎で育った私は性格ものんびりとしている。
なので、次から次へとコロコロ会話が変わるエルネスト様の話に口を挟むことができずに相槌をうって聞いていることが多かった。
私は、エルネスト様はもう一人のお兄様のように思っていた。
3年後、エルネスト様が学園に入るため王都に行った。
手紙をやり取りしていたが、返信が少なくなった。
そのことを両親に言うと、『あいつは毒される方だったか』と言っていた。
様子を見ることになった。
領地にも帰らないし手紙も来ないわね。
父が王都で学園の噂を探ってきた。『あいつには懇意にしている令嬢がいるそうだ』
そうなのかなぁとは思っていた。
父に婚約を解消するか?と言われたが、エルネスト様がどういうつもりでいるかを聞きたかった。
『入学した私にどう接するかを確かめたい』と父に言った。
入学後、私に会いに来ることもなく常に令嬢と一緒のところを何度も見かけた。
なるほど。隠す気もないってことね。私との婚約を解消するのか聞こうと声をかけた。
ほー。婚約者にその態度?解消決定ね。
そんな私に声をかけてきたキース様。
んー。波長が合いそうな人。そう思った。
キース様から、エルネスト様が入学してからの話を両親と聞いた。
あー。やっぱりね。毒されるってほどの悪事でもないけど、そういうことね。
詳細がわかってありがたいけど、この人、友人やめたのかな?
イザベル様の境遇を聞いて、エルネスト様が逃げるのはもう遅いとわかった。
キース様の助言に感謝して、円満に婚約解消しようと思った。
破棄だとイザベル様が何を言い出すか怖い。そう両親と思ったのだ。
こっちは婚約解消を了承しているのに、向こうの両親が納得していない。
浮気しているのはあなた方の息子なんですよ?
手紙ではやり取りに時間がかかるから、早く王都に来てくださいね?
ようやく来たと思ったら、浮気相手より私がいい?あなたたちに言われてもね。
通常は婚約破棄でもおかしくないところを婚約解消で済ます条件として、エルネストが私に近づかないことをあげた。これを破ると慰謝料を貰う。
エルネスト様の両親は、今、慰謝料を払わなくて済むならと思ったようでサインした。
婚約解消の署名のために、最後に両家族で会った。
あの令嬢に惹かれたところを聞いてみると、それだけ?と思った。
ほー。私が暗くて無口だと言いたげな口調ね。それほどではないと思うけどなぁ?
ま、無事に縁が切れてよかった。
キース様にも報告した。お世話になったしね。
直後、なぜか口説かれ始めたようだ。婚約者いなかったの?
自分の将来を悩んでいて婚約者を決めずにここまできてしまったらしい。
王都で働くか田舎暮らしか。それによって選ぶ妻も変わってくる。
じゃあ、決めてないのに何で私?
『君がそばにいてくれるなら望む方の暮らしをするし、僕が選んでも君ならついてきてくれそう』
波長が合いそうというか、空気感が好ましいと言われた。
うー。言われたことに納得できる。私も同じように感じるから。
ひとまず、結婚を前提に付き合うことになった。
キース様は卒業後、王宮で働くことになっていたようだ。
私が卒業する2年後まではそこで働くけど、結婚する時にどうするかはお互いの両親も一緒に考えることにした。
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