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しおりを挟む卒業2か月前、婚約を解消するためにオリビアとオリビアの両親、僕の両親と会った。
僕の両親は、『本当はこちらが有責の婚約破棄なんだ。それを解消で許してくれた』と言った。
僕は、婚約破棄された令嬢なんて印象がよくないからだと思っていた。
最後に、久しぶりにオリビアの真っ直ぐな目が僕を捕らえて聞いた。
『あの令嬢のどこに惹かれたのか、参考に教えてもらえるかしら?』
微笑んで聞かれ、嫌みで言ってるんじゃなくて純粋に知りたいのだと思った。
『太陽のような明るい笑顔と話題が豊富で楽しませてくれるところ』と言った。
オリビアにはないところだろ?という感情を込めてしまった。
それに気づいたのか、『エルネスト様の好みはそういう方だったのね』と微笑んだ。
オリビアの両親から罵倒されても仕方がないと思っていたが、一言だけ言われた。
『金輪際、オリビアに話しかけるな。守らなければ慰謝料を貰うと君のご両親と決めた』
静かな怒りを感じた。当然だよな。
こうしてオリビアとの婚約は解消されて、イザベルとの明るい未来が待っていると信じていた。
卒業まであと2か月、卒業したら婚約しようとイザベルに言った。喜んでくれた。
この頃から口数が少なくなったイザベルにどうかしたのかと聞くと、姉が結婚して寂しいと言った。
寂しいから抱きしめてほしいと言われたが、また弾みで抱いてしまうのはよくないと思い『過度の接触は結婚後にするように両親から怒られた』と頭を撫でるだけにした。
イザベルが話さないから、今まで夢中で話を聞いていた耳が周りの声を拾い始めた。
(やっぱり婚約解消したそうよ?)
(自業自得だよな)
(1年生が婚約者だったらしいわ)
(じゃあ入学してからあの二人を見てたのよね)
(スッキリしたんじゃないか?)
(浮気が本気になるような男はロクデナシよ)
(その前に浮気自体がロクデナシだわ)
(そうだな)
オリビアが入学する前に婚約解消した方が噂にならなかったかな?と思った。
この1年と少しの間、イザベルとばかりいたから自分たち中心に考えていた。
外から見ると、『婚約者がいるのに他の令嬢と懇意になっている浮気男』だよな。
浮気…か。そんな意識はなかったな。
昔はオリビアとの穏やかな時間が心地よかった。
婚約者というより、友人か妹みたいに思ってたんだろう。
恋愛感情が育ってなかったから、イザベルと仲良くすることを浮気とも思ってなかったようだ。
だから、婚約解消はみんなにとって良かったんだ。愚かにもそう思った。
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