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しおりを挟む僕は2か月前の自分の選択を猛烈に後悔している。
今、自分の目の前にいる令嬢と本当に結婚しなければいけないのか?
僕が心惹かれた太陽のような笑顔はどこへ?
いつも話題豊富で楽しませてくれたり驚かせてくれた話好きな君はどこへ?
あの君は作られた姿?
婚約したから、僕と二人の時に笑顔の必要はなくなった?
笑顔は僕の家族に愛嬌を振りまくために使ったので文句を言うな?
最近何も話さなかったのは、これまでは姉からの受け売りで話していただけで姉が嫁いだから話題がない?
明るくて聡明な君がいなくなった。……いや、始めからいなかった。
学園を卒業後の今日、婚約を結んだ。2か月前に6年間婚約していたオリビアを捨てて。
結婚式は半年後に決まった。
両親はイザベルとの婚約にも結婚にも難色を示した。オリビアを裏切ったことが許せないのだ。
だが、既に体の関係があると仄めかすと仕方なしに婚約を認めたのだが…
この仕方なしの態度が歓迎されていないと感じたらしく、両親と別れた後にイザベルが豹変したのだった。
僕の身勝手でオリビアとの婚約を解消してもらった。
それほどイザベルに夢中になっていた。
また婚約解消したいだなんて、もう言えない。
一度、イザベルと関係を持ってしまっているのだ。
彼女は純潔ではなかったが。…彼女は騙されて酒を飲み純潔を奪われたと泣いた。
こんな自分は穢れていて修道院へ行くべきだと言うので、そんなことは気にしないと慰めた。
今思えば、関係を持った後に言うのはズルくないか?
というか、明らかに誘うような言動に誘導されて抱いてしまったのだ。
呆然としている僕にイザベルが言った。
「何してんの?早く行くわよ。みんなに自慢できる婚約指輪を買ってもらわなくっちゃ!」
指輪だけじゃなくて、ネックレスもブレスレットも髪飾りも…とブツブツ言っている。
…彼女の浪費で喧嘩が絶えなくなる未来が見えた気がした。
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