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しおりを挟むそこまでの話を聞いて、ルチルはこの後の話は聞きたくないと思っていた。
タイラーは、私に『快感』を与えるために娼婦か誰かから愛撫を学んだのだろうから。
タイラーが他の男に私の体を触らせたくないと思ったように、私も自分以外の女の体にタイラーが触れたと思うと苦しくなった。
「ナイジェル殿が、いろいろと助言をくれたんだ。
まず、一般に出回っている閨の指南書を読むこと。
その本には、女性がどこを好むのかが大体書いてあるから、と。
それから、やはり実践が大事だけれど、実践は妻にするべきだから男娼から学べと言われて。
何人もの女性の体を知っている男娼に、根掘り葉掘り絵を書いてもらって教えてもらったんだ。」
「………え?実践、は、していないの?」
「ああ。私は君だけでいいから。」
ホッとした。それと同時に申し訳なく思った。
「ごめんなさい。それなのに私は他の人に教えてもらおうと……」
「いや、ニコラ夫人がかなり強引に話を決めたと聞いている。
ナイジェル殿からルチルではなく私が学ぶという話を聞いて、面白がっていたらしいから。
だから、私を男娼役にしてルチルには伝えなかった。
今思うと、彼女のイタズラは少しひどいよな。
ルチルは私が相手だと知らないままなんだから。
知らない君は、部屋に入ってニコラ夫人に断ろうとしていただろう?
それに、寝室に来ても断ろうとしていた。
受け入れたのは、相手が私だと気づいたから。そうじゃないのか?」
「……ええ。でも、ごめんなさい。
私、『快感』が知りたかった。
あなたはもう私の体に興味がないんじゃないかと思ったの。
だけど、私が気持ちよくなれば、あなたがまた興奮してくれるかもって。」
「あぁ、ごめん。私のせいだ。
あの時、勃っていなかったことを気にしていたんだな。
あれは出産からまだ1年経っていないのに妊娠させてしまったらどうしようかと不安だったから。
思いっきり勘違いだとわかったけれど。
それからごめん。今日、私も君を試した。夫ではない男に挿入を望むかどうか。
断られて嬉しかった。まぁ、君は正体を知っていたわけだけどね。
でも素顔で交わることを選んでくれて嬉しかった。」
「あなただと気づかなかったら、やっぱり最初に断っていたわ。
まだ、『秘密の戯れ』は私には早いと思ったの。
知らない男の人と2人きりで過ごすのは、私には勇気が足りなかったわ。
やっぱりあなたと話し合ってからでも遅くはないんじゃないかと思ったの。」
「そうだな。もっといろいろ話し合おう。
我が侯爵家はもしかしたら他家とは違うことが多いかもしれないから。
それにしても、あの侯爵家の決まり事が書かれたものはどうしようもないな。」
「ジェイドには見せられないわね。あなたで終わりにしないと。」
苦笑するしかない。
「ルチルが感じているのを見て、すごく興奮した。
あんなに濡れてグチョグチョになった中に入れたら気持ちよくて溶けそうだったよ。
男娼からいろんな体位も教わった。慣れてきたらいろいろ試そう。
これからは、この夫婦の寝室で一緒に寝よう。
君と交わる日もそうでない日も抱きしめて寝たい。
どうかな。」
「嬉しいわ。あなたを愛しているわ。」
「愛してるよ、ルチル。いいもんだな。口にすると幸せな気持ちになれるよ。」
そう言って、キスをしてきた。段々と深くなり、舌を絡める。
「まだ下手だけど、これも気持ちいいな。」
そのままベッドに横たわり、本日4度目となる交わりが始まった。
とても幸せな夜になった。
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