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愛人を持ったり、娼館通いに夢中になり妻を蔑ろにし始めた夫たちに対抗するようにひっそりとできた『秘密の戯れ』というものがある。

代々、未亡人が取り纏めを受け継いでいると言われ、利用したことがなくても名前は知っているという夫人方も多い。

男が通う娼館と違い、指定された場所に男がやってくるためにバレにくい。

そして男が娼婦を抱くのと大きく違うのが、必ずしも挿入を伴う行為をするわけではないこと。
もちろん、未亡人や離婚経験者など配偶者がいない場合は望めば可能。
しかし、その他の夫がいる夫人が利用する場合、その7割が『快感』目当てのため、挿入がなくても体が満足すれば終わりとなる。
まぁ、たまに相手のテクニックが上手すぎてその場で挿入を強請って中での『快感』も求める夫人もいるらしいが。
その場合は不貞行為にはなるかもしれないが、男が娼婦を抱くのと同じことだと開き直る夫人に多い。


『秘密の戯れ』は『快感』つまり、女性をイかせることを目的としたものなのだ。


夫に相手にされなくなった体が寂しい女性は多い。
『快感』を経験したことがある女性は尚更。
自分で慰めてみても、何か違う。
他人から責め立てられるように高みに押し上げられる感覚は桁違いで気持ちがいい。
挿入を伴わなくても、満足する女性は多いのだ。

どうしても男の人だと不貞しているようだと感じる女性のために、指名を女にもできるけど、大半の人が男性を選ぶ。
その理由は、せっかくやるなら背徳感を望むというもの。
そして、手の大きさと舌の厚み。
女性に比べて大きいソレで触れられることは、求められている気がするらしい。

夫しか知らない夫人たちは、自分以外の女性を知っている夫たちに対抗しているとも言える。





『秘密の戯れ』について、二コラから聞いたルチルは興味を持った。

夫タイラー以外の人から『快感』を教えてもらう。

タイラーは女遊びをして妻である私を放っているわけではないけれど、結婚して2年経ってもたった7回の交わりしかなく『快感』を得るにも程遠い営みのため、今後も期待できないと思っている。

挿入を伴わなければマッサージと同じ扱いで、『快感』を知った私がタイラーを閨でリードすることができれば、少しは閨事に楽しみが伴うのではないか。

そんなことを思ってしまった。


「ルチルは『快感』を知るべきだわ。
 このままでは女としての輝きまでくすんでしまう。
 私が先方に連絡をしてみるから、楽しみにしていて。」

「ええ。お願いするわ。」


これは不貞にはならない。

タイラーの顔がちらついたけど、『快感』を知りたい欲望が勝った。




そして、二コラからひと月後に予約が取れたと連絡が来たのはわりとすぐだった。
 






 
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