上 下
21 / 23

21.

しおりを挟む
 
 
手に入れた宿泊記録と、その後に子供が生まれた夫婦を調べあげていく。
32年分調べるのは大変な作業だったようだ。
事情は公表したが内容が内容であるため、調査部門以外の人間に対象者を教えられない。 
 
夜会後の宿泊客は120組を超していたが、年齢的に違うと省かれたのが30組ほどだ。
残りの90組余りのうち、夜会から1年以内に出産した者が76人。
伯爵家の長男を除いた10人がこの中に含まれることから、残り66人だった。 

クレアが見た、胎児3人のうち1人はこの調査の間に出産したと思われる。
そのうち判定でわかるだろう。
もう1人は、今妊娠8か月だ。産むしかない。
最後の1人は、宿泊記録が見つかる前に公表された内容で自分たちがその被害者だと気づいた。
そのショックで流産してしまったらしい。



神殿の親子判定では、日々問題が起きていた。
親子だと思っていれば伯父だったとか、父とは親子なのに母が違うとか、妹だと思っていたら従兄妹だったとか。隠していた家族の秘密がポロポロと。
判定では血縁があるかないかだけわかると勘違いしている者も多くいたためだった。 
 

そして親子判定で父との血縁がなかった者が王宮で兄弟判定された。
これまでに兄弟判定を行った者は42人でそのうち40人が兄弟だった。
あとの2人?妻の浮気相手の子であろう。


クレアが見た75人と胎児3人、胎児1人が亡くなり2人産まれたのでグラムの子は77人だ。
新たに判明したのが40人、以前の11人とメイド1人を合わせて52人が判明した。
亡くなったのが22人、残りは3人だ。もうこれは平民ではないだろうか。


亡くなった22人のうち宿泊記録と照合した結果、貴族と思われるのは10人だった。
10人の親からも確認が取れた。そのうち8人は幼少期や結婚前に亡くなり、2人は結婚後だった。
1人は子供を持たずに亡くなり、1人は子供が1人いた。グラムの孫になる。
判定の結果、血縁が認められたので、婚姻に注意が必要な1人だった。
亡くなった人の残り12人は平民ではないだろうか。


グラムの子の77人のうち、貴族61人、平民1人、不明15人
現在生きている55人では、貴族51人、平民1人、不明3人 である。

ちなみにグラムの孫は現在わかっているだけで63人いる。
未婚のグラムの子供が今後結婚して出産すると孫はまだまだ増える。
グラムの子供が血縁ではない者と結婚しても、子供はグラムの孫である。
グラムの孫がひ孫がどんどん増殖していくと思うとゾッとする。

グラムの子供と孫の婚姻は許可できない。孫同士も従兄妹にはなるが避けてほしい。
又従兄妹は…認めなければ結婚相手を探すのが難しくなるかもな。


グラムの狙いは貴族中に自分の血縁者をばら撒くことだったのだろうか。
『そうなったら面白いと思った』あの男ならそう言いそうだった。



ここまで判明するのに、クレアが女神様から祝福を受けてから5年が経っていた。




   
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完)聖女様は頑張らない

青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。 それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。 私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!! もう全力でこの国の為になんか働くもんか! 異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。 「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」 と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。

頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。 その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。 16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。 後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。

努力をしらぬもの、ゆえに婚約破棄であったとある記録

志位斗 茂家波
ファンタジー
それは起きてしまった。 相手の努力を知らぬ愚か者の手によって。 だが、どうすることもできず、ここに記すのみ。 ……よくある婚約破棄物。大まかに分かりやすく、テンプレ形式です。興味があればぜひどうぞ。

水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ
ファンタジー
 わたくしは出来損ない。  誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。  それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。  水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。  そんなわたくしでも期待されている事がある。  それは『子を生むこと』。  血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……  政略結婚で決められた婚約者。  そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。  婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……  しかし……──  そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。  前世の記憶、前世の知識……  わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……  水魔法しか使えない出来損ない……  でも水は使える……  水……水分……液体…………  あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?  そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──   【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】 【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】 【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?

まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。 うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。 私、マーガレットは、今年16歳。 この度、結婚の申し込みが舞い込みました。 私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。 支度、はしなくてよろしいのでしょうか。 ☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。

処理中です...