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5.
しおりを挟むクレアは元々、淡い紫色の瞳だった。それが少し濃くなっていることは気づいていた。
女神様の魔力を授かった影響か?と思っていた。
しかし、水晶に魔力を移し終えても色が濃くなったままなのだ。
「うーん。魔力を移したら元に戻るかと思ったが、まだ変わったままだな。
しばらく様子を見よう。
クレア、見え方に問題はないか?」
「はい。普通に見えます。」
「それも祝福の影響として記録することにしよう。
一生続くのか、一晩寝たら元に戻るのか。どちらでもクレアの瞳はキレイだよ。」
壁に掛かっている鏡で自分の瞳の色を確かめて戻ってきたクレアにそう言うと嬉しそうに笑った。
自分の変化が不安だったのだろう。まだ6歳だからな。
翌朝もクレアの瞳の色に変化はなかった。
しかし、新たな異変がクレアに起こったようだ。
クレアは見ただけで親子や兄妹がわかるようになってしまったらしい。
朝食をみんなで食べていた時、クレアはふと昨日の出来事を思い出した。
『お母様は私のお母様』そう思った途端、母が3人の子の母だとわかった。
ここにいいる、兄・姉・自分がそうだと感じたらしい。
そして、父を見ても同じようにわかったと言うのだ。
あの瞳は血縁の鑑定が出来るようになってしまったということか?
どうやら意識して相手の瞳を見ると勝手にそう感じるらしいとわかった。
こっそりと身近な者たちで確かめてみることにした。
数人、名指しで呼び出して、まず魔術師長だけを部屋に入れた。
魔術師長は子供が2人だ。そこまでクレアは知らない。
「陛下、クレア王女様もご一緒で。何か他にあの水晶でできることがわかりましたか?
極秘扱いで魔術師たちにも試させておりますが。」
そう言った魔術師長と目が合ったクレアは、国王に『2人』と告げた。
意味がわからずに首を傾げる魔術師長を放っておいたまま、他に呼んだ魔術師たちを部屋に入れた。
3人入ってきたが、目を合わせることなく1人の人物を見て『あの人』と言った。
魔術師長の息子だった。そう勝手に感じるらしい。
他の2人も子持ちなので、目を合あわせてから人数を言い当てた。
親子と兄弟はクレアが見える範囲にいると繋がりがあるとわかるらしい。
一応、魔術師長には何を確かめていたのかを話した。
すると、やはりクレアの瞳を興味深々で見ていた。…言うのを早まったか?
クレアの瞳のことは、これからも家族と魔術師長だけの秘密にしよう。
これってクレアが貴族と面会すると問題のある貴族が判明するかもしれないけど、まだ6歳だぞ?
どこでどうやって会わせるんだ?というか、そんなことさせたくないなぁ…
クレアが言うことが正しいかは水晶で証明できるけど『あなた方は親子じゃありません』って告げるんだよな?
高位貴族は血縁を重んじているから跡継ぎが血が繋がってなかったら大変だ…
でも、女神様はそれを正そうとしているんだよな?というか俺がするのか…
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