4 / 23
4.
しおりを挟む夕食後、家族に集まってもらい調査をしてみた。
国王である私と長男クリストファー、長女シェイアは次女クレアと同じく金色が渦巻いた。
王妃であるアリッサと長男・長女も同じだった。
だが、クレアは王妃と判定するのを嫌がった。
「クレア?どうしたの?」
手を後ろに隠して首を横に振っている。
泣きそうなクレアを抱き上げてソファに座り、膝に乗せた。
「どうしたんだ?」
「…お母様とはキラキラしないから。」
「ん?なぜだ?」
「私はお母様の子じゃないって。お母様もお姉様も綺麗なのに私は違うって。」
「…そう誰かに言われたのか?クレア、お前は間違いなくお母様の子だよ。
お前は、私の子供の頃に似たんだ。
昔、お父様は今のお前のように『天使のようにかわいい』と言われた時期があった…」
嫌な昔を思い出して遠い目をしていると、周りが笑いだした。
「クレア、間違いないよ。母上のお腹にいた時も生まれてからもずっと一緒だった。」
「いらっしゃい、クレア。キラキラを確かめてみましょう?」
クレアを膝から下ろしてやり、水晶の前まで連れて行った。
微笑む母親と一緒に水晶に手を置くと、キラキラと輝いた。
嬉しそうに母親に抱きつくクレアを見て、なぜ神託がクレアだったのかがわかった。
神託はその時々で相応しい人に下ると思われる。
自分の母ではないかもしれないと不安に思っていたクレアが選ばれたというわけだ。
ついでに国の乱れも何とかしろってことか?それが難しい。
クレアの話を聞くと、自分の母親じゃないかもしれないと思ったのは昨日のことだった。
…よかった。長い間、こんな小さな子を悩ませ続けていたのかと思ったよ。
偶然、侍女たちの話を聞いたようだ。
クレア付の侍女に、どんな会話をクレアが聞いたのかを確かめた。
まとめると、こんな感じだ。
『王妃とシェイアはよく似ていて綺麗だ。だが、天使のようにかわいいクレアは王妃に似ていない。
では誰に似た?国王の子供の頃だ。』
長年勤めている侍女と新しい侍女が、そんな感じの会話をしていたのが耳に入ったそうだ。
侍女も、まさかクレアが王妃の子ではないと誤解したとも気づいていなかったのだ。
クレアには、疑問に思ったことは悩まないで確認するように伝えた。
天使の笑顔は曇らせてはいけない。家族みんなの思いは一致していた。
ちなみに、国王と王妃が水晶に手を当てるとキラキラの量は少ないが渦巻いた。
二人は又従兄妹である。繋がりは薄いが血縁圏内ってところか?
兄妹で試してみると、親子ほどではないがほとんどのキラキラが渦巻く。
なるほど。親や祖父母が亡くなっていても、ある程度の判定はできるということだ。
水晶は、銀のキラキラの時は属性判定で、並べて置いて金のキラキラの時は血縁判定ができるようだ。
血縁が少し遠ざかるとキラキラ渦巻く量も少なくなる。
だが、この水晶はまだ大っぴらに周知させてはいけないだろう。
どうやって調査すべきか。おそらく、貴族に問題が起きているのだろう。
「ねえ、クレア。あなたの瞳の色、濃くなってない?」
そうだ。それも不思議だったんだった。
94
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?


全部忘れて、元の世界に戻って
菜花
ファンタジー
多くの人間を不幸にしてきた怪物は、今まさに一人の少女をも不幸にしようとしていた。前作異世界から帰れないの続編になります。カクヨムにも同じ話があります。

婚約破棄感謝します!~え!?なんだか思ってたのと違う~
あゆむ
ファンタジー
ラージエナ王国の公爵令嬢である、シーナ・カルヴァネルには野望があった。
「せっかく転生出来たんだし、目一杯楽しく生きなきゃ!!」
だがどうやらこの世界は『君は儚くも美しき華』という乙女ゲームで、シーナが悪役令嬢、自分がヒロインらしい。(姉談)
シーナは婚約破棄されて国外追放になるように努めるが……

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる