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しおりを挟むチェルシーは、グランツ殿下が条件を満たすことはないと思っていたので、彼の行動にいちいち見張りをつけなかった。
もちろん、浮気相手の男爵令嬢コレットにも。彼女がグランツ以外の男とも交流があっても知らない。
「婚姻前の妊娠は托卵を疑われます。」
「たくらん?」
「例えば、コレット様のお腹にいる子供の父親が本当にグランツ殿下かどうか証明が難しいということです。」
「え……?それって恋人が一人じゃないかもしれないってこと?」
まぁ、そんな発想のなかった王妃様は間違いなく国王陛下だけだったのでしょうね。
「不特定多数がいる学園ではその可能性もあるということです。
つまり、グランツ殿下の不適切な関係を咎めることなく婚約者以外との恋を黙認した王妃様にも罪があることをおわかりいただけましたか?」
あのお腹の子供は本当にグランツの子供なの?って王妃様、話聞いていました?
男爵令嬢コレットのお腹の子供が本当にグランツ殿下の子なのかを気にしだした王妃様がふと聞いてきた。
「あら?未婚で妊娠したのは私もよね?え……グランツはルドルフの子供じゃないって思われてる?」
「確かに当時、そんな声も聞かれたようですが、国王陛下が間違いないと言い張ったそうです。」
「そうなの?あーよかった。あ、間違いなくルドルフの子よ?だって、避妊薬を吐き出してワザと妊娠したのだから。」
……これにはチェルシーだけでなく、ずっと傍観者のように会話を聞いている4人の令嬢も呆気にとられた。
「ワザと、ですか?」
「そう。侍女にね、このまま卒業したらルドルフになかなか会えなくなるし、忘れられてしまうかもしれないって言われたの。そばにいたいなら妊娠すればいいから飲まされた避妊薬を吐き出したらいいって口の中に指を突っ込まれたわ。」
……侍女、あなたのせいなのね。
妊娠しなくても、国王陛下はルネーゼリア様を愛妾にしていて手放さなかったと思う。
そうなっていれば、ネフェリーナ様が王太子妃・王妃になっていて、ルネーゼリア様のせいで国が嘲笑されることもなくグランツ殿下も産まれることはなかった。
そうよね。ルネーゼリア様にそんなこと企む頭があるはずがない。
侍女ひとりのせいで、この国はフラフラし続けてきたらしい。
まさか、コレット様も同じことをして妊娠した?
グランツ殿下の子供だとは思うけど、学園の外や家の中のことまではわからない。
他の男の子供の可能性がないわけではない。
ルドルフ国王陛下が男爵令嬢コレットにこっそり見張りをつけていたりは……しないかなぁ。
関係ないからいいけど。
……関係ないことはないわ。ローランド様の異母兄グランツの妻と子になるのよね。面倒。
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