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しおりを挟むチェルシーは、新たな王太子には第二王子殿下ローランドがなるということを王妃ルネーゼリアに話した。
「えーっ!知らなかった。ルドルフって弟がいたの?」
……なんでそうなる。
ルドルフ国王陛下が弟がいたなら、王弟殿下であって第二王子殿下ではない。
「違います。グランツ殿下の弟です。」
「え……?グランツの弟?」
……なぜそこで王妃様は自分のお腹を見るの?そこにいたらびっくりだわ。
「私って、知らない間にもう一人産んでた?」
そんなに首、傾げないでください。
「違います。腹違いの弟です。」
「腹違い……腹違い?!?!?!ルドルフ、浮気したの?」
ようやく理解したらしい。
「浮気とは少し違いますね。側妃ネフェリーナ様との子供ですので問題ありません。」
「問題あるわよっ!妃は私なのに。」
「ネフェリーナ様もお妃様ですよ?」
「ルドルフに私以外抱かないでってお願いしたのに。」
「まぁ、王妃様の妊娠中のことですからね。国王陛下もまだ若く我慢ができなかったのではないでしょうか?」
実は別の女性にも手を出したことがあるらしいが、子供が授かったのはネフェリーナ様だけらしい。
「妊娠中って……その子供、一体何歳なの?」
妊娠中って言ったのだから大体わかるでしょう?
「グランツ殿下と半年違いですね。今17歳です。学年は1つ下になりますね。」
「17歳?!どこに隠していたの?養子にでも出てた?」
「いいえ?王宮にいましたよ?敷地内の離宮にいることの方が多かったですが。」
「今もいるの?」
「今は隣国に留学中ですね。この国の学園に通うとローランド様の存在を知っている者から噂が広まる可能性がありましたので。」
「どうして私は知らなかったの?」
「国王陛下が王妃様には隠すように言われたからですね。」
よくここまでバレなかったと思う。王妃様が周りの雑談に興味を示さないからなのかも。
それか、あの王妃様の侍女。彼女が全て情報の遮断や視界に入らないようにしていたのかも。
「じゃあ、グランツはどうなるの?」
「どうでしょう?予定では、王子のまま領地経営について学んだ後、結婚を機に臣籍降下になるはずでしたが、男爵令嬢を妊娠させたという醜聞がありますし、彼女と結婚せざるを得ないことになります。
男爵家に婿入りしろとなるかもしれませんね。」
男爵令嬢コレットには兄がいるからどうなるかわからないけど。
「ええっ?王子なのに?男爵家?」
「グランツ殿下のしたことは、この国の王制そのものを揺らがしかねない愚かなことでした。
それもこれも、王妃様たちの前例をなぞってしまったからです。
婚約者を蔑ろにして何の利もない男爵令嬢を正妃にする。ならば、王族を辞める覚悟を持つべきです。」
「そこまでのこと?」
「ええ。そしてグランツ殿下がそんな愚者になったのは王妃様のせいだと責任を問う声が上がっています。」
「私のせい?どうしろっていうの?」
「王妃様には表舞台から消えていただきます。」
王妃様の目がこれ以上ないほどに見開いていた。
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