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しおりを挟む王妃ルネーゼリアに王妃の座の魅力について聞いていたが、チェルシーがちょくちょくルネーゼリアを貶めるような言葉を言っていることに彼女は気づいていない。馬鹿王妃だから。
ルネーゼリアは、面と向かってあからさまに怒られたり非難されたりしなければ、自分が否定されていることに気づきにくいのだ。
ある意味、とても平和な頭をしている。
だけど、チェルシーはワザと貶める言葉を使っているので、さすがに鈍いルネーゼリアでもそろそろ気づくはず。
「彼女たちは王妃様と違って実家が裕福ですので、王妃としての気品に必要な物と自分の好みで選んだ物を使い分けて身に着けることができます。なので、それは王妃の座の魅力とは言えませんね。」
「いいわよねぇ。私の実家なんて、もうないわ。両親はどこを旅しているのかしら。」
王妃ルネーゼリアは実家の男爵家を継ぐ令嬢だったはずなのに、ルドルフと恋仲になって積極的に体に触れて堕としたのだ。母親から男の堕とし方を教えてもらったとか。
ルネーゼリアが王太子妃となったことで、両親は甥に男爵家を継がせようとした。
だが、王太子妃の実家に優遇措置はないのかとその甥がエラそうにしたところ、周りの貴族は誰も相手をせず、そのために男爵家は没落することとなった。
王家が妃の実家だからと救済をする間もなかった。
両親と甥は、ルネーゼリアに頼んで王家から金を借りようと王都に行くために、借金取りを巻こうとして山賊に襲われたらしいが、ルネーゼリアは両親が領地を譲って旅に出たと聞いているらしい。
20年近く経っても両親から連絡がないことにも違和感を持たないのだ。
「他に、王妃の魅力はどこでしょうか?」
「う~ん。あ、仕事しなくていい?」
仕事をしなくていいのが魅力って、本気?
「王妃様は仕事をしていなくて、側妃様がされているのですよね?ということはグランツ殿下の正妃になれば、側妃になるコレット様に全部任せられるということでよろしいですか?」
「えー?無理じゃない?あの子よりもあなたたちの方が絶対賢いと思うもの。」
「ではそれも王妃の魅力ではないですね?」
「そっかぁ。そうね。後は何かあるかなぁ?」
そんなに考えないと出てこない魅力って、魅力ある?
「王妃様、娘を王家に嫁がせる親が、娘に一番期待することは何だと思われますか?」
「いい王妃になることじゃないの?」
「……そうですね。広義ではそれで間違っていません。
ですが、親が一番期待することは王家との縁を繋ぐことです。つまり、子供を産むこと。
更に王子ならば、いずれ国王になるかもしれません。そうなれば誉れとなりますので。」
「それはわかるわ!私もグランツが国王になるのを楽しみにしているもの。」
違うでしょう。
そこに食いつくのではなくて、妃になるなら子供を産むことをどの貴族家でも望むと言ったの。
子供ができないのであれば別だけど、正妃なのに閨を共にしないと言われて嫁がせる親なんているはずないじゃない。
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