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学園に入学すると、レイフォードとルースが同じクラスになり、アミーナは違うクラスになった。

これは、アミーナに少しでも楽しい学園生活を送ってもらうためにルースとアミーナを違うクラスにするように事前に根回ししておいたのだ。

もちろん、レイフォードがルースと同じクラスになったのも、ルースの行動を見張るためためだった。
 

ルースは相変わらず、ニタニタニヤニヤした笑顔で令嬢たちを物色するような目で見ているため、令嬢たちはルースと目を合わさないようにしているのだが、ルースはそれを恥ずかしがっていると勘違いしているような男なのだ。

男の自分でも気持ち悪いとレイフォードは思う。


アナレージュから受け取った報告書のことを思い出した。


娼婦が客であるルースの相手をするのは当然のことなのだが、指名の予約が入っていない娼婦が客に指名されるのを待っている場所にいると、『俺に抱かれたくて待っているのはわかっているが俺の体は一つなんだ。順番を待ってくれ』と訳の分からないことを言うらしい。

やがて、ルースの相手をした娼婦からあまり相手をしたくない客と聞き、ルースが来ると慌てて部屋を出るようになり、残っているのは必死で稼ぐ必要のある娼婦だけになったという。 


街の平民女性もそうだ。
 
二階が連れ込み宿になっている飲食店で働く女性は王都を訪れた男相手に気が合えば体を許し、お小遣いを貰うということをしているが、それは女性が望めば一夜遊べるという暗黙の了解の場所なのだ。

そう。女性が男を選ぶ場所なのだ。

しかし、ルースは自分が女性に誘われないのは貴族相手に粗相をしてはいけないと萎縮しているのだと思っており、自分が狙った女性に金を渡すように侍従に頼み、大金に目が眩んだ女性が仕方なしに一晩相手をしているということに気づいていない。

 
つまり、ルースは自分が女性から嫌われているなど全く思ってもいない勘違い男なのだ。


それはもちろん、アミーナに対してもそうだ。

アミーナが命令を聞くのも、笑わないのも、ルースの指示に従っているから。
ルースは当初、アミーナに惚れる男を近づけないために笑顔を振りまくなと言ったのだが、その命令を取り消していないためにルースにも笑わないということに気づいていない。

アミーナが自分のものになったということが非常にルースの優越感を刺激しており、パーティー等で自分に付き従うアミーナへの扱いを非難されていることもわかっていないのだ。

そして、アミーナも自分のことが好きだと思っている。 

『早く結婚してアミーナを抱きたい』『アミーナを悦ばせるためには多くの経験が必要だ』
 
ルースと関係を持った女性は、そう言っていたと証言していた。
 

レイフォードはそう書かれてあった報告書を汚らわしくて破り捨てたくなったのだ。 


自分の性欲を満足させているだけのくせに、アミーナを口実にしている発言に腹が立ったから。
 


しかし、クラスメイトの令嬢たちを見ている限り、初めからルースの愛人狙いは誰もいないだろう。

確かにルースは侯爵令息だ。
 
だが、まだ婚約者のいない男はいるし、入学したばかりなのだ。ルースに絞る令嬢がいたら見てみたい。




 
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