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しおりを挟むレイフォードが15歳の誕生日を迎えた。
戸籍上、レイフォード・レーゲンとなったが、まだ当分はバーナー伯爵家で暮らす。
ただ、レイフォードには新たな役目ができた。
それは、アミーナ・ファーブス侯爵令嬢と話をすること。
場所は、レーゲン公爵家で。
リゼルはアナレージュに、レイフォードがアミーナのことを気にかけているということを話した。
アナレージュも、アミーナの新たな婚約者がレイフォードであれば兄であるファーブス侯爵は認めるだろうと思っていたのだと話した。
だがレイフォードとアミーナは顔見知りな程度でお互いのことをよく知らない。
この状態でファーブス侯爵を認めさせるためだけに婚約させるのは、アミーナがレイフォードを利用したようで引け目を感じるだろう。
なので、2人を引き合わせる機会を作ることにしたのだ。
アナレージュは、姪であるアミーナに遊びに来てほしいとレーゲン公爵家に呼ぶ。
レイフォードは、領地のことを学ぶという名目でレーゲン公爵家を訪れる。
レイフォードとアミーナ、2人の相性を確認するために。
2人は『偶然』、レーゲン公爵家で会っただけ。
アナレージュも一緒に、お茶を飲んだだけ。
それを何度か繰り返し、レイフォードとアミーナはお互いに好意を持った。
浮気を疑われるような言動は一切ない。
それは、婚約者のいるアミーナが不利にならないためでもあったが、言葉はなくともわかることもある。
ファーブス侯爵も、レイフォードがいると知れば婚約解消を認めるはずだ。
アミーナとルースの婚約解消に向けて、前進した。
もうすぐ学園に入学する。学園は飛び級もできるが基本的には3年制。
つまり、この3年の間にルースが大いにやらかしてくれることを期待しているのだが、早ければ早いほどいい。
アミーナがルースの婚約者であったということをみんなの記憶から消してほしいと思うくらい、ルースの娼館通いと平民女性を金で誘う姿は、多くの人の知るところとなっていたのだから。
アミーナは入学前に婚約を解消できないか、父親に頼んでみたらしい。だが、
『浮気くらいで婚約解消を言い出せば、多額の慰謝料を払うことになる』
と、全く相手にされなかったそうだ。
しかし、ルースが問題を起こしては金で解決しているコリタック侯爵家に、ファーブス侯爵も苦い顔をしていたらしい。
あと少し。もう少し強力な後押しとなるような事態になれば、ファーブス侯爵家が慰謝料を払うことなくこちら側から婚約破棄を叩きつけることができるのに、とアナレージュがやきもきしているのを見て、リゼルは思わず微笑んでしまった。
アナレージュがここまで姪アミーナに親身になってくれるとは嬉しいことだ、と。
エドモンドもアナレージュも、女性の政略結婚は道具みたいなものだと、それを当たり前のように受け止めていたが、アミーナのような可哀想な婚約を目の当たりにしてしまえば考え方も変わるのだろう。
ちなみに、リゼルたちがレイフォードとアミーナを結ばせたいと思っていることは、前レーゲン公爵は気づいているだろうが、現レーゲン公爵となったエドモンドにはまだ何も言っていない。
エドモンドは迂闊というか、思わず誰かに口を滑らせる可能性があるから。
そうすると、アミーナが浮気していると思われて、婚約解消が不利になる。
なので、エドモンドには最後まで話すつもりはない。
継いだばかりの公爵位の仕事に邁進していてほしいと思っている。
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