好きな人に振り向いてもらえないのはつらいこと。

しゃーりん

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エドモンドからの手紙を一応読んでみたが、やはり予想通りレイフォードのことだった。

リゼルと話し合いたいと書いてあったが、リゼルは夫と共に応じると返信した。
 
場所はもちろん、ここバーナー伯爵家で。
レーゲン公爵家にレイフォードを連れて行く気もない。
顔が見たいのであれば、最初はコッソリとみるべきだ。
エヴァンがいるのに最初から実父だと名乗らせるなど許す気はないのだから。
 
レイフォードはエヴァンが実父ではないことを知っている。
3歳だったけど、エヴァンが父に、ルティアが義妹になったことを覚えているから。
本当の父親のことは聞いてきたことはないが、エドモンドとの話し合いの後に教えることにはなると思っている。


 


「リゼル、私は君と2人で話をしたいんだが?」


バーナー伯爵家にやってきたエドモンドは不機嫌そうにそう言った。


「エドモンド殿、リゼルは今は俺の妻です。気安く呼ばないでいただきたい。」


エドモンドは大きくため息をついた後、エヴァンに言った。


「わかってるよ。だが、リゼルは元妻でここには他に人はいないし、噂話になることもない。
だから、爵位は関係なく対等に話をしないか?」
 

エドモンドは公爵令息として若干上から目線で言っているが、実は現時点ではエヴァンの方が上になる。

エヴァンは先日、バーナー伯爵位を継いだ。
いずれ公爵を継ぐ身であってもエドモンドはまだ継いでいないため、伯爵となったエヴァンに大きな態度を取ることは不敬になる。

しかし、余程のことがない限り公爵になるエドモンドに対してエヴァンも大きな態度を取れるわけではない。

なので、微妙な言い回しで会話をするよりも、元同級生として気軽に話そうと言うことなのだ。


「……ああ、わかった。リゼルもそれでいいか?」

「ええ。構わないわ。」


エヴァンは自分が話し合いから除外されなければ気にしない。
ひとまず、リゼルは自分の妻だと牽制しただけなのだから。

それに、今更エドモンドから、リゼル夫人やリゼル殿だなんて呼ばれると話が頭に入ってこないかもしれないから気軽に話せる方が助かる。 




「君が私の子供を産んでいたというのは本当のことか?」


エドモンドはまず、そう聞いてきた。
つまり、彼はレイフォードを自分の目で見たわけではないのだ。 


「その聞き方だと、ごく最近に知ったってこと?」

「ああ。手紙を出した前日だ。」

「偶然?」

「いや、……養子をとろうと思って親戚の調査を依頼した。その調査員が君が子供を産んでいたことを調べてきて知ったんだ。離婚後7か月で産んでいる。私の子だろう?」


リゼルはその問いに答えることなく、質問を返した。


「養子をとるってことは今の奥様を大切に思っているのね。」

「は……?いや、全く妻に愛情はないが。」

「え?でも、養子って。愛人に産ませるつもりもないってことでしょ?」

「あー……愛人は3人いた。だが妊娠しなかった。だから検査したんだ。その結果、私に生殖能力がないことがわかった。」 


ん……?じゃあ、レイフォードは?よくわからないけど、ひとまず……
 

「それなら私が産んだ子供があなたの子供じゃないっていうことでしょ?話し合う必要はどこにもないじゃない。どうぞお帰りになって?」
 
 
さっさと追い出そう。



 
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