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ギガルドたち愚かな4人組が郊外の家に着いたらしい。

私はベッドで寝たふり。


家に4人が入ってきた。

「おーザック。上手く行ったか?」

「うん。隣のベッドで眠らせてる。」

「起きたか?」

「起きそうになったから、さっき薬を多めに嗅がせた。だからまだ起きない。」

「じゃあ、仮面はいらないな。ちょっと覗きに行ってみるか。」

4人は隣の部屋に移動した。



「おーヴィッテじゃん。」

「この女か。意外と可愛いんじゃないか?」

「体はどうなんだ?貧乳じゃなさそうだな。」

「服を脱がせればわかるさ。後で仮面つけてから手足を押さえつけようぜ。」



「はい。アウト。誘拐容疑と強姦未遂で逮捕。」
 
どこからともなく現れた男たちに4人は確保された。

もちろん、私は真っ先に守られていたけど。



ギガルドは何が起こったのかよくわからなかったようだ。

「え?何?誰?ナニコレ?」

「お前らは、身代金目的の誘拐と強姦未遂、更に言えば慰謝料目的も加えた容疑で逮捕だ。」

「え?……ザックか。裏切ったな!」

「裏切りたくもなるでしょ。こんな捕まるとしか思えない犯罪なんて加担したくないさ。」

「計画は完璧だった!」

いやいや、穴だらけだよ?

「長時間、馬車が同じ場所にあるって思ってるところから破綻してるぞ?」

馬は動く生き物。誰も見張っていない馬車なんて盗まれてもおかしくないし。
所詮、貴族のお坊ちゃまたちが考えた案だということだ。



誘拐という犯罪は罰が重い。
彼らはもう貴族には戻れないし、逆恨みも考慮されてもう会うことはないだろう。




帰る馬車の中で、リカルド殿下が教えてくれた。

バンズ侯爵家は揃いもそろって浪費家で見栄張りらしい。
先代の築いた財を使い果たし、次は領地からの税収を誤魔化し、それでも足りないので裕福な家に援助してもらおうと考えたそうだ。
どの道、5年毎の監査が今年で税の誤魔化しが明らかになる年だったということらしい。


なので、現在の侯爵一家にはギガルドの件も併せて全員が罪になる。
領地管理は管理者が真面で問題なかったので、遠縁を当主として引き継がせる。
但し、領地は縮小されて男爵家として。


金がないのが幸いしたのか、他に大きな犯罪はなかった。
あったのは、パルテ伯爵への暴漢と使用人たちへの脅しくらい。

家族を路頭に迷わせないために、パルテ伯爵の財力が必要なのだと護衛と使用人たちを脅し、まんまと婚約することに成功はしたが、援助を得ることができなかった。

やっぱり長男に裕福な高位貴族の嫁を貰おう。
ヴィッテは格下の伯爵家だったから、援助が圧力と捉えられた。
同等の侯爵家の嫁なら援助してもらえるはず。

だが、どこにも断られる。どうすればいいのだ?

と、悩んでいたところを一家まとめて捕らえたということだ。今日の昼間に……

誘拐が未遂に終わっていたとしても、ギガルドは貴族ではなくなっていたのだ。




つまり、ヴィッテとの婚約は白紙。なかったことになったのだった。
  
 

 

 
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