侍女から第2夫人、そして……

しゃーりん

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ルイーズは、娘を3人、息子を1人産んだ。

公爵家の長女ローラは王太子の婚約者に決まり、将来は王太子妃、王妃となる。 
妹弟の面倒を見てくれる、とても優しい姉。
母親が違うことは話してある。絵姿も渡してある。
母方の祖父母が違うので、気づくのは当然だ。
うっすらと、実の母親がベッドにいた姿と頭を撫でてくれたことを覚えているらしい。


男子継承優先のため、息子が跡継ぎとなる。

ルイーズが産んだ娘3人のうちの1人は、セルフィ様のお兄様の子供の婚約者。将来の侯爵夫人。
あとの2人も高位貴族との婚約が決まっている。 

ルイーズは我ながら頑張って産んだと思った。





ガレント様の妻になって16年が経ち、ローラが王太子に嫁いだ後、彼が懺悔するように言った。


「第2夫人になったせいで結婚式、してやれなくてごめんな。
 ルイーズが第2夫人に選ばれたのは、私のせいなんだ。」

「どういうことですか?」

「一度、セルフィに言われたことがある。
 私がルイーズをよく見ている。ルイーズが好みのタイプなのか、と。」

「どう答えたのですか?」

「……可愛いと思う、と。」

「私が公爵家で侍女になったのは、私が第2夫人に相応しいかどうかを見定めるためだと聞きました。
 なので、ガレント様の答えも一因かもしれませんが最初から候補だったそうですよ。」

「……だからか。あの夜はおそらく仕組まれたものだよな?」

「ええ。侯爵家にも頼んで夜間に2人で一緒の部屋にいたとして責任を取らせるつもりだったと。
 廊下でガレント様が出てくるのを待っていたそうです。」

「セルフィから聞いたのか?」

「はい。セイラを妊娠中に昔話を聞かせてくれました。その時に。
 まさか、ただ寝ていただけではないと知って、侯爵家でも驚いたそうですよ。」

「あぁ。本当に幸せな夢を見ているんだと思ってたんだ。
 部屋に入ってすぐ、ソファで少し寝てしまってベッドに移ろうとしたら君がいた。
 あの頃、毎日のようにルイーズを夢で見てて……抱きたかったんだ。
 ルイーズが応えてくれたから、絶対に夢だと思っていた。」

「私も本当にそう思っていたんです。
 ガレント様みたいな素敵な男性と初体験を出来るなんて、夢でしかないし夢だからいいかって。
 あの晩のお酒、絶対に酔いが回るのを飲まされましたね。」
 
「私は……あの夜の前からルイーズに惹かれていた。
 そのことに気づかされた夜だった。
 ルイーズ以外の女性だったら、夢でも逃げていたよ。
 君を抱いてしまったら愛しくて手放せなくなって、侯爵に君を第2夫人にしたいと言ったんだ。
 侯爵もそれを考えていたと言っていた。
 娘であるセルフィを押しつけてしまって申し訳なかったと受け入れてくれた。
 だけど……君が第2夫人になることは既に仕組まれていたんだね。
 すっかり騙されたよ。まさか16年経って知ることになるとは。」

「ごめんなさい。話し忘れていました。」

「いや、いいんだ。部屋がおかしいとは思ったんだ。
 使用人にアネモネの部屋だと言われたけど、朝、部屋を出る時はデイジーの部屋になっていた。
 付け替えたんだろうな。」


ガレント様は案内してくれた侍女と2人きりで部屋に入らないように、途中で案内を断って場所だけ聞くのはよくあることだそうだ。
その部屋の中には結局私がいたんだけど。


「何で今頃こんな話してるんでしょうね。」


笑えるわ。16年よ。いつでも話せたはずなのに、毎日が幸せすぎて忘れていたわ。


「本当だな。
 でも、ルイーズが私をすぐに受け入れてくれたのはなぜなんだ?
 わりと早くから私の愛に応えてくれていたよな。」

「最初の夜と次の日の初夜で思ったんです。
 ガレント様は性欲の発散ではなく、私のことが好きなんじゃないかって。
 毎日のように体を繋げていると、あなたの『愛してる』って言葉が嘘じゃないってわかって。
 子供を産むためだけの第2夫人じゃないと思ったら嬉しくて。
 セルフィ様からも、できればガレント様を好きになってほしいって言われていました。
 好きになってもいいんだって思ったら、愛に応えたくなるじゃないですか。」

「セルフィが。
 彼女はルイーズが誤解しないようにいろいろと先手を打ってくれていたんだな。」

「ええ。」 


5人の子供たちと公爵夫人としての仕事。
いろいろと大変な16年だったけど、まだ4人の巣立っていない子供たちがいる。
伯爵家の跡継ぎの予定が侍女として働くことになり、第2夫人になったかと思えば正妻にまでなってしまった。
思わぬ人生だったけど、幸せに過ごしてきた。

息子に爵位を譲るのはあと10年くらいかしら?

引退後は旅行をしたり料理をしたりして、私と2人きりの時間を楽しみたいとガレント様は言う。
子供たちに取られた時間が長かったから、と。
そうかな?夜はガレント様が独占していたけれど。


「ルイーズ、愛しているよ。」


そう言ってキスをするガレント様を私も愛している。これからも、ずっと。



<終わり>


 
 
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