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しおりを挟む晩餐が終わり、ガレント様にエスコートされて部屋に戻った。
「また後で。」
その言葉の意味は、つまり初夜だろう。
初夜?初夜って言っていいのかな。
昨日が初夜?
でも第2夫人になったのは今日だから、今日が初夜でいいのかな?
そんな疑問を感じながら、侍女たちに体を洗われて手入れをされて夜着を着せられた。
入室を促された夫婦の寝室には、既にガレント様が待っていた。
侍女たちが扉を閉めて下がり、2人だけになる。
「慌ただしくて、ろくに2人で会話をしないまま夜になってしまったね。
ルイーズの気持ちが追いつかないのであれば、今日は何もしない。
ただ、みんなが期待しているから一緒には眠ってもらうけど。」
「いえ、大丈夫ですよ?
子供を期待されていることは理解しています。
これから、お互いのことを知っていけばいいと思っていますしね。」
「そうだな。ありがとう。」
ガレント様は本当に優しいなぁ。お礼を言ってくれるし気遣ってくれるし。
横暴な人や傲慢な人じゃなくてよかった。
そんなことを考えていると手を差し伸べられたので、それに応えた。
すると、抱きしめられてガレント様の顔が近づいてきた。
綺麗な顔だなぁと思っていると、唇にキスをされた。
昨日の夜も散々口づけ合った。
それを思い出して応えていると、抱き上げられてベッドに連れていかれた。
お互い昨夜よりも酔っていないので恥ずかしさはあったけれど、昨夜の記憶と同じく優しく甘く、まるで愛し合っている2人の行為のように思えてしまった。
演技でも何でも、形から入ればそれが当たり前のような夫婦になれる気がしたけど……演技ではない気がする。
最中に、可愛いとか好きだよって言われて気づいた。
彼は思ってもいないことを口にするような人ではないと思う。
ということは……
ガレント様、私のこと本当に好きなんじゃない?
翌日、ローラに会った時、侍女に耳打ちされたローラが私に向かって言った。
「ルイーズおかあしゃま!」
うわっ!可愛い。
セルフィ様がローラに説明したのね。
多分、ルイーズもお母様になったから、そう呼ぶようにって。
まだ2歳のローラに刷り込みをしようとしているのだと思った。
産みの母、育ての母。
小さいうちは意味がわからない。
だけど、家族だと刷り込んでおけばずっと側にいるのが当たり前の存在になる。
侍女も家族以上に側にいるけれど、結婚や実家の都合で退職することはよくあるので入れ替わりはある。
……今回の私みたいに。
私に抱きついてきたローラが言った。
「おかあしゃま、ふたり?」
「そうね。セルフィお母様に聞いたのかしら?」
何度も笑顔で頷くローラは可愛い。
「ルイーズもお母様になったの。ローラはルイーズの子供にもなったのよ。仲良くしましょうね。
セルフィお母様のように、私もこれからはローラって呼ぶわね。」
「うん。」
ローラとのお茶の時間は、前と過ごし方をあまり変えなかった。
お昼寝が終わったばかりなので、お菓子を食べた後に本を読んだり散歩したり。
もう少しすれば、ちゃんとしたマナーや文字の練習などが始まる。
ルイーズがそれを教えることはないけれど、そのうちお茶の時間は学んだことを教えてくれる時間になる。
ルイーズにも覚えなければならないことがたくさんあるので、ずっとローラとはいられない分、このお茶の時間が癒しの時間とローラの成長を見る時間になっていくのだろう。
第2夫人としての新しい生活が始まって2か月経った時、妊娠していることがわかった。
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