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しおりを挟む18歳で学園を卒業後、20歳~22歳くらいの間に結婚する令嬢が多い中、サリーシャも例にもれず20歳での結婚となった。
ベックは卒業後、外交官の職に就き、上司に伴われてあちらこちらの国へと出かけていた。
結婚後も出張がある度に寂しくなるとは思うが、ベックが仕事にやりがいを感じているのがわかるため、サリーシャは我が儘を言わず一緒にいる時間を大切にすればいいと思っていた。
なのに………
式の時間が来るのを両親と話をしながら待っていると、父の事務官が慌てて両親を呼びに来た。
その後、部屋にいた侍女たちも外の侍女に呼ばれて出て行く。部屋の中でできない話なのだろうか。
何かが起こっていたが、サリーシャに伝える者はいなかった。
「……クララ、聞いてきてくれない?」
「サリーシャ様を一人にできません。すぐにわかるはずです。お待ちください。」
結婚式ではしばしばトラブルは起こる。
愛人が乗り込んで来たり、借金取りがやって来たり、身代金目当てで誘拐しようとしたり。
なので、花嫁は一人になるべきではないと言われている。
「……そうね。ベック様に何かあったのかしら。まさか、怪我とか?」
ベックは浮気をしない。そう約束した。だから信じている。愛人なんていない。
「怪我でしたら、何らかの連絡が入ってもおかしくはないと思いますが。」
そうよね。結婚式を中止にして、私をベックの元に行かせるはず。なのに誰も来ない。
しばらくして、父が戻ってきて言った。
「結婚式は中止だ。ベックの子供を妊娠しているという女性がやって来た。」
「ベック様の子供?……まさか。彼が浮気なんて。」
「……身に覚えはあるらしい。だが、奴の言い訳は話にならん。」
身に覚えがある?あの真面目なベックが?浮気はしないと言ったのに?
サリーシャは父の言うことが信じられなかった。ベックから直接聞くまでは信じない。
慌ててウエディングドレスを脱がしてもらい、ベックのいるところへ案内してもらった。
「サリーシャ、僕は浮気なんてしていない!」
ベックのその言葉に、やはり何かの間違いだったのだとホッとした。
しかし、ベックの父親が言った言葉に呆然とした。
「この阿呆。何度言えばわかるっ!あの女性を抱いた覚えがあるのだろう?それは浮気だっ!」
「っだけど、あの女性は接待のための女性です。娼婦同様、浮気とは言えないはずですっ!」
……え?接待?娼婦?娼婦は浮気にならないの?どういうこと?
「ベック様がその女性と体の関係を持ったのであれば、浮気……ですよね?」
サリーシャはベックとベックの父親、そしてサリーシャの父親に確認するように聞いた。
そしてベック以外は頷いた。どうやらサリーシャの認識は間違っていない。
「そんなばかなっ!浮気とは、貴族夫人あるいは貴族令嬢が相手の場合にのみ使う言葉だろう?娼婦は性欲処理だから浮気にならないはずだ。ましてあの女性は接待で宛がわれた女性だ。妊娠するなど、あの国のミスなのにどうして僕が責任を取らなければならないんだ?」
娼婦は性欲処理だから浮気にはならない?いや、浮気でしょ?
それよりも………
さっきから接待って言ってるけど、仕事で訪れた国で手配された女性を抱いているってこと?
それって当たり前のことなの???
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