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2.
しおりを挟む薄暗い灯りの下だったけど間違いない。
レッティの夫であるロイドがまだ若い女の子と腕を組んで歩いていた。
「どういうこと?シードとロイドが同じ町でそれぞれ浮気?」
「まさか一緒に来て、女にあって、一緒に帰る。なんてことしてるとか?」
「お互いの浮気を黙認…というか、どちらかが紹介したとか?」
「わからない。……ロイドをつけてみる?」
「……うん。」
少し先を歩く2人は、まるで恋人同士のようにイチャイチャしていた。
なんだろう。いつものロイドには見えない。
「ロイドってイチャイチャするタイプだっけ?」
「……外ではしないわよね。家ではあるけど、あんな感じじゃないわ。」
レッティはとても怒ってるようだった。
アイシャは先ほどの夫の浮気のことは一旦忘れることにして、ロイドを追いかけた。
角を曲がった2人を見逃さないように覗き込んだけど、既に姿が見えなかった。
「この近くの家ってことね。どこだろう……あっ!」
「あの家ね。灯りが点いたわ。」
近づいて会話が聞こえないか確かめようとすると、少しだけ窓が開けられた。
「ねぇ、ジュード。早く脱いで?」
「ルルはコレに夢中だな。俺は嬉しいけど。」
「奥さんはコンナコトしてくれないでしょ?早く離婚してよ。
私と一緒になったら、毎日してあげられるわ。」
「それは楽しみだな。ルルの体は最高だし。」
「休みの日は朝から晩までイチャイチャできるわ。ベッドに行きましょ。もう欲しいわ。」
こちらも完全なる浮気だった。
「ねぇ。ジュードって呼ばれてなかった?」
「……偽名で浮気してるのね。っていうか浮気なの?本気なの?離婚するの?」
若干、頭が混乱気味のレッティを連れて荷馬車に乗って帰った。
もちろん、お互いの家にはまだ夫はいなかった。
夜遅くに帰ってきたシードに気づいたけど、寝たふりをして知らないふりをした。
後ろから抱え込むように抱きしめられて、思わず払いのけたくなるほど気持ちが悪かったけれど我慢した。
夫は誰の目から見ても、アイシャを愛してくれているのだと思っていた。
全く疑ったことなんてなかった。
だけど、他人の空似ではなく、間違いなくあれはシードだった。
ネイラという女性が本当に妊娠しているかは、問題ではない。
たった一回の浮気、そんな感じは全くしなかった。
何度もあの場所を訪れたであろう、シードとネイラの関係を気持ち悪く感じ、もう無理だと思った。
翌朝、いつもと違うアイシャにシードは戸惑っていたが、体調が悪いのなら寝ているようにと言って仕事に向かった。
そして、その後にまたネイラは現れたのだ。
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