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ユーシスは自分の婚約者であるアデラとタルボットが親しくなったのは自分の対応が悪かったせいでもあるとメリーアンに謝罪した。
 

「アデラと私は親同士が婚約を決めて、初めて会った日に婚約が結ばれたんだけど、甘やかされて育ったアデラはすぐに泣くしベタベタするしで苦手なんだ。両親もすぐに婚約を後悔していた。
だから、アデラが入学してきてお昼は一緒がいいとか休憩時間に会いに来てほしいとか言われて突き放すようなことを言った。『学生の間は友人との時間を大切にしたいから』と。
私の友人は男ばかりだけど、アデラは当てつけのように男女混合の友人と過ごすようになったんだ。」


そして、タルボットとイチャイチャしているのが友人としての範囲だと思っている、と。
 
ユーシスは侯爵家で、タルボットは子爵家。
アデラは婚約解消をする気はなく、ユーシスに相手にされない寂しさをタルボットで紛らわそうとしているということだ。

バレてるとも知らず、気づかれていないスリル感を楽しんでいるのだろう。


「君が入学するまでに婚約を解消できていなければ、今度は君が同じことを言われるかもしれない。」


『友人との時間を大切にしたい』って、タルボットに?……別に大歓迎だけど。


「それは構いませんが、ブランカ王女殿下の婚約待ちだと聞きました。候補者はまだ?」
 
「いや、最近婚約が無くなった隣国の第三王子になるんじゃないかと言われているが、どちらの国に住まわせるかで話が進まないらしい。こちらもだが、あちらも少し問題のある王子らしくて。」

 
お互いに押し付け合っているのかしら?
 

「正式に婚約が結ばれてから、私たちそれぞれの婚約を解消するのですね。」

「ああ。君の入学前に片がつけばいいが、間に合うかは微妙なんだ。」


できればタルボットと無関係になってすっきりした状態で入学したいものだけど、仕方ないわね。 


「友人と楽しく過ごしますので大丈夫ですよ。」

「そう言えば、弟の婚約者がテール伯爵家のピオニー嬢なんだ。知ってるかな?」

「あ、はい。友人です。」


ピオニーは長女で下は妹なので伯爵家の跡継ぎになる。
婚約者を聞いたことがなかったけれど、ユーシス様の弟だったのね。


「弟のザカリスも君やピオニー嬢と同じ学年だから仲良くしてやってくれ。」

「はい。男性の友人は初めてかもしれません。」


タルボットは生まれた時からの婚約者だから、友人っぽかったけど友人に分類できないし。


「え……オービス、そうなのか?」
 
「メリーアンにはずっと婚約者がいたから、お茶会も女の子の集まりばかりだったんだ。」


婚約者を探すためのお茶会は男女共に集まるけれど、メリーアンはそれに出席したことはない。

ユーシスはすごく驚いていた。


「伯爵令嬢で珍しいね。男が苦手ってわけじゃないんだよね?」

「はい。」

「じゃあ、あのタルボットという男にしか触れられてない?」


触れられてない?なんだか微妙な表現だけど、どこを?
 

「ユーシス、王都の男を基準にするなよ?メリーアンはアイツと手しか繋いだことないよな。」

「手を繋いだのも幼い頃のことだけど。」


そう言うと、ユーシスはなぜかメリーアンを見て笑った。


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