正当な権利ですので。

しゃーりん

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息子ジェラルドが不貞で産まれたか、近親相姦で産まれたか。

他家のことなど関係ないだろうに、この手の噂はいつまでも燻ぶり続ける。

なので、ジェラルドの今後のためにも少し解消することにした。


「ジェラルドが不貞で産まれたという噂の方ですが、それの何が問題なのでしょうか。愛人の子供を跡継ぎに据えてきた貴族家は少なくありません。数十年前までは女性に継ぐ権利がなかったのですから、正妻に女の子しか産まれなかった場合は現当主が不貞で産まれた子供という貴族家も珍しくないでしょう。違いますか?
私はラモン公爵家の籍に入っている公爵家の者です。その私が産んだ子供が私の跡を継ぐ。それは正当な権利です。父親が誰であってもニセモノではありません。国の法律で認められているのですから。」 


正妻の子供でないと跡を継げないという決まりはない。血の繋がりが必要だという決まりもない。
それは国の法律で定められているため、ニセモノ呼ばわりはしてはいけない。

男が不貞をして愛人に産ませた子供を跡継ぎにすることは今までにもあったが、女側が同じことをすると理解を得られないのは間違いだ。それなら男にも許してはならないのだ。


「次に、近親相姦の噂の方ですが、仮にオズワルド様が私の祖父だったとしましょう。オズワルド様は身に覚えがあり、私を孫だと知った。でも、公表したところで信じられるわけがない。私が財産や爵位を狙っていると周りから疑われるだけになります。他にも子供だ孫だと名乗りをあげる者も出たでしょう。実際にオズワルド様の死後にそういって名乗り出る者はおりましたし。
そんな面倒なことになるよりも、孫としてではなく妻として結婚してしまえばいい。そうすればラモン公爵家の籍に入れることもできる。私はオズワルド様の孫ということなのですから、私の産む子供は公爵家の血筋になるということです。もちろん、相手は祖父であるオズワルド様ではなく目に適った男性。近親相姦にはなり得ません。」
 

納得している人、頭が混乱してそうな人、理解できなかった人、など、いろんな顔があった。
その中の一人が聞いてきた。


「亡き公爵オズワルド様が、あなたが孫だと知らなかった場合は?」

「オズワルド様は私を孫だと知らなかったけど、私を結婚相手に望んだ場合も同じことです。
親というものは子供の出生について教えるものだと思います。それこそ近親相姦を避けるために。
祖母から母に、母から私に。まぁ、私以降は近親相姦になり得る年代がいなくなりますので必要はないかと思いますが。つまり、私がオズワルド様の孫だった場合、私が母から聞いて知っているので近親相姦にはなり得ません。オズワルド様に私が孫であるということを打ち明け、それこそ正統な権利を主張して公爵家の籍に入り、オズワルド様の目に適う男性の子供を産みます。

つまり、不貞の噂も、近親相姦の噂も、公爵である私と子供たちを貶す根拠がありません。
おわかりいただけたでしょうか。」


結局2人は祖父と孫なのか?息子は誰の子なのか?

そんな声も聞こえたが、現公爵セレーネと子供たちがラモン公爵家の爵位と財産を正式に継ぐ者だと知らしめることができればそれでいい。内情を事細かに周知させる必要などどこにもないのだ。
 



 




 
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