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しおりを挟むオズワルドは急に笑い出し、笑いが収まると泣きそうな顔でセレーネに言った。
「若い小娘を孕ませようとしたことは確かだな。公爵家のためには仕方のないことだ。
だが、金と引き換えに嫁ぐ女がいないわけじゃない。私はこれでも選別したつもりだったんだ。
托卵されて違う種を公爵家に入れるわけにはいかないと思い、純潔であろう令嬢で探した。その中でも婚約者がいない伯爵家以上の令嬢をね。それに引っかかったのがお前だったんだ。マローネによく似たお前を妻にして子供を産んでもらい、その代わりに何でもしてやるつもりだった。マローネにできなかったことを。
だが、顔は似ていても雰囲気がまるで違うから、それこそ孫を見ている気分になってしまった。
だから、公爵家はお前にやろう。」
「もちろん、いただきます。そのつもりで結婚しましたので。祖母であるマローネの恨みつらみを毎日のように語るつもりですし。ただ正直言って拍子抜けです。私が罵倒する前に公爵家をくれると言ったのですから。」
まさか結婚と同時に公爵家の籍に入れてくれるとは思っていなかったから。
孫だということを伝えてから手続きをさせて、公爵家を手に入れるつもりだった。
「マローネの血縁のお前になら、やってもいいと思ったんだ。私の遠縁よりもな。彼女の人生を壊したことへの罪滅ぼしになるかと思った。だが、お前が私の孫だったとはな。公爵家を手にするのは妻であり養子になったお前の正当な権利で、孫としての正統な権利でもある。
だがお前はどちらを選ぶ?好いた男の子供を産むのは構わないが、私の子供とした方が跡継ぎ問題は面倒なことにはならない。しかし、対外的にも子供の父親を好いた男にしたいのなら私と離婚して公爵家の者として新たに結婚するか、私の死後に結婚するかになるが。」
オズワルドと離婚することも、オズワルドの死後に恋人と結婚することも、公爵家の血は途絶えたと知らしめることになる。たとえセレーネが公爵家の籍に入っていようと、単なる養子で血縁ではないと思われているのだから。
「オズワルド様が生きている間に、子供を産んでオズワルド様の子供ということにします。それが跡を継ぐ子供のためには一番いいことだと思いますので。」
本当の父親が誰かということは、本人が知っていればいい。
初めからそのつもりでここに来たけど、本当に調子が狂うわ。こっちから愛人を連れ込んで子供を作るって言うつもりだったのに。
「そうか。わかった。で?相手の男はどこの誰だ?無条件に認めてやりたいが、念のため調べさせてもらおう。私が生きているうちに、仕事も覚えてくれる男なら尚よいがな。」
あぁ、なるほど。悪事を働くような男でもない限り、私が彼を好きなのであれば許してくれるのだろう。
だけど少しでも見込みがあるのであれば、私と私が産む子供を支えてくれるような孫婿に仕込みたいと思っているのだ。
そうしてくれると有難いですけどね。
私は恋人の名前をクソジジイに告げた。
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