正当な権利ですので。

しゃーりん

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セレーネからマローネとのことは嘘だと指摘されたオズワルドは驚いていた。

何を嘘だと言われたのかもわかっていないのかもしれない。


「マローネはとっくの昔に亡くなっているので嘘がバレると思っていませんでしたか?」

「嘘、とは。どこがだ?」

「マローネがあなたのことを好いていた?愛人にはなれないから別れを選んだ?違いますよね。
マローネはあなたを全身で拒否していたんでしょう?先ほどそうおっしゃいましたよ。矛盾してますね。」


オズワルドは考え込んでいるように見えた。ひょっとして本当に好かれていると思っていた?


「マローネは実家に戻って私とのことを話したということか?」

「……話さないでどうやって縁談を断るというのです?親には話すしかないじゃないですか。純潔だと嘘をつけと?」

「……そうだった。私はマローネの純潔を奪っておきながら、逃げた彼女は見合い相手と結婚したものだと思い込んでいたんだ。何年も経ってから彼女が独身で亡くなったことを耳にした時に純潔じゃなかったから結婚できなかったんだということに気づいた。」

「身勝手な人ですね。マローネの人生を壊しておいて。彼女の見合い相手は初恋の人でした。その人の婚約が解消になってマローネと結ばれるはずだったんです。相手の方はマローネが縁談を断っても諦めませんでした。だから純潔じゃないことを話したそうです。相手の方はそれでも構わないと言ってくれて縁談はまとまりかけました。
ですが、結婚できませんでした。なぜだかわかります?……マローネが妊娠していたからです。」


オズワルドが目を見開いてセレーネを見ていた。
襲っていながら、その先に起こり得ることを考えたこともなかったのだろう。


「妊娠……?わ、私の?」

「……あなた以外にいるわけがないじゃないですか。
妊娠に気づいたことで、病に罹ったことにして結婚の話はなくなりました。マローネの兄夫婦が自分たちの子供として籍に入れると言い、マローネの義姉は妊娠を装って屋敷から出ませんでした。やがて産まれたのが女の子。私の母ですね。兄夫婦の末っ子として育てられました。マローネも一緒に暮らしていましたが、産後体調が悪いまま戻らなくて、母を産んで1年後に亡くなりました。」

「では、セレーネは私の孫、ということか?」 

「そうですよ、クソジジイ。あなたが存在すら知らなかった母も5年前に亡くなりました。」


母はパルフェ伯爵の後妻だった。母に惚れた伯爵が強引に娶ったのだ。


「どうして言ってくれなかったんだ。私の血縁はセレーネだけだ。私と結婚しなくても公爵家はお前のものじゃないか。」

「どうして?って、どうやって証明するのです?私が名乗り出れば、他にも名乗り出る人が出てきますよ?嘘と真実をどうやって判断するのですか。祖母であるマローネが嘘をついたんだと罵られるかもしれない。自分の子供として籍に入れた大伯父や伯父たちも非難されるかもしれない。誰も巻き込みたくないから黙っていました。
だけど、あなたは私を妻に選んだ。だったら結婚後に暴露してやろうと思ったんです。若い小娘を孕ませようとしている好色ジジイに、孫を抱く気ですか?って。」


そう。暴露して妻を抱けないと知ったクソジジイを嘲笑ってやるつもりだった。

だけどその前に、クソジジイは私の内面がマローネと違うことで興味を失ったようだった。 





 
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