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しおりを挟むオリアナ王女は14歳で隣国に留学し、同時期にキャサリン王妃の病気療養も発表された。
2人の体に我が国の水が合わない話は割と知られ始めていたため、国に戻ったんだなぁと思われた程度。
外出先でその地の食べ物・飲み物を口にしないことで、徐々に事情が伝わっていたのだ。
誰もが、『水でお腹を壊す日々なのは辛いだろう』と納得していた。
お腹を壊すとは誰も言ったことはないのだが勝手にそういうことになっている………
オリアナ王女が我が国の王女として隣国に嫁ぐことで、ウィルベルトの庶子が王太子になっても、王妃が不在になっても、隣国との関係が悪化することはなかった。
むしろ、水が体に合わないことを婚約時代に気づけなかったことが原因だと隣国が謝罪していた。
デルード家は伯爵家から侯爵家となった。
国への貢献度があることはもちろんだが、やはりルドルフの実母であるディアンヌがいるということと、ルディアのためである。
伯爵家のままでは、ルディアは狙われやすいのだ。
上は公爵家から、下は男爵家まで、要するに全ての貴族家が婿入りを狙えることになる。
だが、侯爵家となれば、基本的には公爵家、侯爵家、伯爵家からが妥当となり、子爵家と男爵家は近寄ることができなくなるのだ。
次期国王の妹なのだ。
うっかり手が届くかもと勘違いしそうな下位貴族を除外しなければならない。
そう言われてしまえば、フランクもディアンヌも受け入れるしかなかった。
しかも、ルディアの婿候補になる男は既に数人に目星がつけられており、その中からルディアが選ぶようにするらしい。
ややこしい立場のルディアを守れる男が望ましいので、これも当然のことだった。
そしてオリアナ王女が18歳で隣国王太子と結婚したことを機に、ウィルベルトとキャサリンは離婚。
夫婦で出席するような行事は、全てルドルフ王太子夫妻が代理。
ウィルベルトの妃の座は不在のまま数年を過ごしたが、とうとう我慢が出来ずにルドルフが23歳の時に国王の座を退いて相談役という立場になった。
離宮に住んで王城に通っていることになっている。
が、実際はデルード侯爵家から通うことになる。
「ルドルフが前に言っていたけれど、本当にデルード家に住むとは思わなかったわ。」
ディアンヌは遠い目をしてウィルベルトに向かって言った。
デルード家の使用人もこの12年でウィルベルトが訪れることに慣れてしまっていたので、ここに住むことになっても『でしょうね』という感じだったらしい。
「ルドルフは私の考えが良くわかっているからな。
そろそろ私の我慢の限界だろうと覚悟を決めてくれていたよ。」
ウィルベルトは、本当はルドルフが18歳で結婚する時に国王の座も譲りたかったのだ。
だが早すぎるということと、オリアナの結婚までは国王でいるべきだと諦めた。
オリアナの結婚当初はルドルフが20歳になっていたが、ルドルフの妻が王子を産んだばかりだったので機会を失い、翌年に更にもう一人王子が産まれ、王家は安泰となった。
ルドルフ自身は25歳まで待ってほしいと考えていたが、ウィルベルトとの話し合いで23歳で国王になることが決まったのだ。
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