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ディアンヌは特別にこれからルドルフが生活する部屋に案内してもらい、ルドルフ付になる侍従・侍女たちにも挨拶をした。

いきなり現れた庶子でも王子殿下でありウィルベルトそっくりであることから、誰も出自を怪しむ者はおらず、ルドルフは歓迎されているようでディアンヌは安心した。


10歳で離ればなれになるのは寂しいことだが、ルドルフがウィルベルトそっくりに産まれて来た日から全く想像しなかったわけではない。
 
それにちょうど親の干渉から離れる時期であり、家によっては夕食時にしか顔を合わさなくなったり親が夜会に出ていれば数日ぶりに顔を見るといったことも多くなってくる歳なのだ。

少し離れた方が成長もわかる。


ディアンヌはルドルフの母ではあるが王族ではないという微妙な位置付けにいるため、毎週会えるだけでも感謝しなければならないだろう。

ディアンヌが未婚であれば、側妃にさせられただろう。
子供が授かった11年前は未亡人。
その当時でも本来であれば純潔という側妃の条件は満たしていないが、子供ができたとなれば例外だ。
だが今は既婚者で、フランクと離婚することを望んでいないディアンヌに無理強いはできなかったため、ルドルフだけが王族として引き取られたという形になっている。


ルドルフにおやすみの挨拶を言い、ディアンヌはウィルベルトに案内されて王宮に来た際のディアンヌの部屋に案内された。


「ここって……」

「ああ。前と同じ部屋だ。侍女にも前にいた者がいる。
 不自由なく準備させたが、必要なものがあれば何でも言いつければいい。」

「わかったわ。」

「また後で来る。準備して待っていてくれ。」


ウィルベルトはディアンヌの額に口づけてから戻って行った。

ルドルフやフランクにされるのとは違う熱を感じ、額に手を当てた。


「ディアンヌ様がこちらにおられる際は、またお仕えさせていただきますね。
 早速ですが入浴して磨かせていただきます。」

「よ、よろしくお願いしますね。」


ディアンヌが頭から足先まで磨かれて寝室に連れて行かれてすぐにウィルベルトはやってきた。

そして、約11年ぶりに子種を受け入れた。……何度も、何度も。


「ディアンヌ、ルドルフを産んでから愛人はいたのか?」

「愛人?」

「ここに、あれから受け入れた男はいたのか?」

「……いないわ。出会いなんて意外とないものなのよ。既婚者なんだから。」


バレてもいいと思うならともかく、秘密の関係を守ってくれそうな男性を探すことは非常に難しい。
なので、愛人を持つことは早々に諦めた。

そう話すとウィルベルトは嬉しそうだった。

ウィルベルトの体力及び精力は昔と何ら変わりはなく、それに翻弄されながらも耐えられたディアンヌも思った以上に体力があったようだった。
朝方、眠る前にウィルベルトが言った。


「ディアンヌ、1日じゃ足りない。今日も泊ってくれ。」

「え?でもまた来週……」

「来週は来週だ。それに、今日と明日も妊娠しやすい日らしいから確率が上がるぞ。」

「そうなの?え?明日も?」

「ああ。伯爵には伝えておく。帰宅は明後日だ。」

「わかったわ。」


決して嘘ではない。
本当に偶然、妊娠しやすい期間だったことが幸いして、ウィルベルトは3日間続けてディアンヌを帰さずに済んだ。
11年もディアンヌを抱くことを我慢してきた衝動がたった1日で満足するはずもない。
最低3日は、ルドルフを言い訳に使ってでも留めるつもりだったのだ。

性衝動に駆られることなく過ごしてきて約9年。

ウィルベルトが抱きたいのはディアンヌだけなのだ。

これまで3度、ディアンヌを諦めた。 

だが、もうディアンヌの体はウィルベルトのものだ。
 




 
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