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しおりを挟むディアンヌが王宮に連れて来られてからひと月半の間、していたことはウィルベルト王太子殿下のお相手だけ。
閨の相手はもちろんあった。まぁ、ほぼ毎日のように。
それ以外にも、何といえばいいだろう。まるで……恋人のように?過ごした。
どうやら、数回しかお会いしたことのない婚約者である隣国の王女様と上手くやっていくために、ディアンヌでいろいろと試したかったようで、日に日に期間が延びていったのだ。
ただ、女性の喜ぶことはそれぞれ違うし、ましてや王女様とディアンヌでは育ってきた環境が違うから役立たないと伝えても、何事も経験だからと推し切られたのだ。
ドレスや宝石、靴、髪飾り、花、などなどいろんなものをプレゼントされたし、膝枕をしたり食べさせ合ったり、ただイチャイチャ過ごしたり、とディアンヌも楽しい時間を過ごした。
ウィルベルトは、日中は公務や学園に行っているのでディアンヌには時間があった。
あったはずなのに、毎日のように朝方までウィルベルトが抱きつぶすために昼近くまで寝ていた。
食事をして体を洗い、マッサージなどを受けているとウィルベルトが帰ってくるのだ。
意外と一人の時間は短かった………
ディアンヌが月のものになっている時は閨事はできない。
しかし、ギル・ルードに渡された男に奉仕するための指南書で勉強させられて、ウィルベルトに実践して過ごした。
王族の妻となる人ににこんなことはさせられないし、してもらえないだろうから王族には愛妾が必要になるのだろうなぁと思いながら。
ウィルベルトの休みの日は、昼も夜も交わったこともあった。
まだ若いウィルベルトは、閨事を経験してから性欲が治まらないのかもしれない。
この関係はウィルベルトの卒業式の日まで。そう決められた。
ディアンヌに、愛妾になる気はないかと打診はあったが断ったから。
避妊薬は毎日飲まされていた。
ディアンヌは、ふと思った。
『飲むのを止めたら妊娠できるかもしれない?』と。
デルード家に帰ればフランクと再婚できる日が迫っている。
どうせディアンヌは今もフランクと同じ屋敷で暮らしていると思われているのだから、少々早く妊娠したと気づかれても笑いごとで済むかもしれない。
『自分で子供を産めるかもしれない?』
バレットとは半年間、閨を共にしても子供はできなかった。
だからここで避妊薬を飲むのを止めても子供ができるとは限らない。
だけど、できないとも限らない………?
ディアンヌは最後の5日間だけ、渡された薬を飲んだフリして飲まないことにした。
最初の頃は、渡された薬を侍女の目の前で飲んで確認されていたが、お互いに慣れてしまって確認しなくなっていたから。
それに、避妊薬も避妊に完全とは言い切れないという。
体調などによって効果が薄れる場合もあるとかで、効かない可能性もあるらしい。
もし子供ができていたら、デルード伯爵家の跡継ぎにするのだ。
すぐにフランクと再婚するから問題ない。
ディアンヌはいろいろと言い訳を並べて、実行に移してしまったのだ………
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