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しおりを挟む同じ頃、ようやく3人で話せる機会を得たのは、ベルーナ、アネモネ、パンジーの3人。
場所はサーキュラ公爵家。ベルーナの屋敷である。
「アネモネ様、殿下に聞かれましたか?側妃のこと。」
「ええ。殿下の頭が心配になりましたわ。父からも陛下に苦情がいったと思います。」
「うちもですわ。困った方ですね。」
ベルーナも、まさかパンジーとアネモネにまで殿下が同じ話をしているとは思わなかった。
あの男は、いつになればベルーナにソノ気がないと気づくのだろうか。
そろそろ本格的に逃げる必要があるのかもしれない。
「今日お越しいただいたのは、お2人の気持ちを確認したいと思いまして。
私は正妃になる気は一切ございません。
そうなると、お2人のどちらかになると思うのですが。」
「そうですわね。カシア様はどうでもよくなられているようですね。」
「2歳下ですと、接点としては一番少なくなってしまいますからね。」
「おそらく、他に好きな方か婚約者候補がいらっしゃるのではないかと……」
「用意周到ですわね。」
「……実は私にもおります。」
アネモネの発言にベルーナは納得した。
だから落ち着いていられるのだと。
婚約者になろうが外れようが、困らないのだと。
「父は、私が不利であることを理解しております。1歳年上ですし。
ですので、その後の婚約者まで用意しているから必死にならなくても良い、と。」
アネモネ様の言葉を聞いて、パンジー様が口を開いた。
「……私は、これはおそらく出来レースに近いのではないかと思っています。
ベルーナ様は婚約者になる気は全くない。
2歳下と1歳下の候補は学園で一緒になる機会がございません。
アゼリア様が入学される頃には内定者が決まる頃ですから。
定期的にお茶を飲む交流以外の接点がないのです。
となると、アネモネ様か私になります。
同じクラスの私がベルーナ様を除いて一番可能性が高い。
陛下や父たちの中では、そう決まっているのではないかと思います。」
「それは私も感じていたわ。
パンジー様は王太子殿下の婚約者になることをどう思っているの?」
これがベルーナが聞きたいことの本題だった。
「公爵令嬢として、王太子妃になることは問題ないわ。
ベルーナ様が殿下を受け入れないのであれば、誰かがなる必要があるもの。
私はその覚悟をもって10歳の頃から過ごしてきた。
もちろん、殿下がベルーナ様以外の候補の方に好意を示せば認めるつもりではあったわ。
その傾向は結局なかったけれど……
だけど、殿下がベルーナ様を諦めなければならない日がいずれ来る。
仕方がないから、それを支えるのも私の仕事になるのかと思っているわ。」
パンジーはあのラミレスを受け入れる気があるみたい。すごいわね。
アネモネは?
「アネモネ様はどう思われています?」
「私は……パンジー様が殿下を支えていただけるのであれば、辞退したいです。」
「ということは、もうパンジー様に決定みたいね。
そろそろ私は逃げようと思うの。
殿下に婚約者には絶対にならないってわからせないと。」
その時、扉がノックされて公爵が入ってきた。
「ベルーナ、殿下が婚約者候補から外れることを認めたぞ!」
「どうして急に?」
手紙にはベルーナを側妃にする案のために候補から外れたということが書いてあった。
正妃がダメなら側妃にしようと思ったのね。
どちらにもなる気はないけれど。
「今から手続きに行ってくる。ちゃんとアレも認めてもらってくるから。
お前はここを旅立つ準備をしなさい。」
「わかりました。お願いします。」
父が部屋を出て行って、ベルーナはアネモネとパンジーに向かって満面の笑みで言った。
「候補から外れたので、もう学園には通いません。
申し訳ございませんが、後のことはパンジー様にお任せしますね。」
急なことに驚いている2人に当分会うことは叶わないだろうから別れを告げた。
パンジーには少し助言もして。
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